2/10(土)に開催した「公開出版会議:安斎勇樹の出版ビジョン」のアーカイブ動画です。今回は安斎勇樹(株式会社MIMIGURI代表取締役Co-CEO)が、2024年に刊行予定の書籍情報をお披露目するとともに、翌年以降に構想する「問い」「学習」「遊び」「場」をテーマとした書籍の出版ビジョンについて、自身のルーツと紐づけながら語りました。
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「公開出版会議:安斎勇樹の出版ビジョン」のチャプター
00:00:11 イントロダクション:安斎勇樹の過去の著作を振り返る
00:06:50 2024年の出版計画[1]:冒険する組織のつくりかた
00:31:16 2024年の出版計画[2]:ルールのデザイン(仮)/チームレジリエンス(仮)
00:34:27 安斎勇樹の研究コンセプト
00:46:44 今後の研究テーマ[1]:学び
00:54:18 今後の研究テーマ[2]:遊び
01:05:54 今後の研究テーマ[3]:場
01:15:05 『冒険する組織のつくりかた』のその後の出版ビジョン
「公開出版会議:安斎勇樹の出版ビジョン」のポイント
- 安斎勇樹の企画中の最新書籍について、企画プロセスや生煮えの知見を共有し、視聴者とともに練り上げていく『公開出版会議』。今回はその特別編として、今後安斎が2024年内に刊行予定の書籍の情報や、それ以降の中長期的なビジョンを語る。
- まずは「2024の出版計画」について。先日の公開出版会議で進捗報告がされていた『フィードバックの作法』に関しては、2023年を通して安斎の中で「軍事的世界観から冒険的世界観へのパラダイムシフト」という、より大きなテーマが立ち上がったことにより、『冒険する組織のつくりかた』という新たな書籍の構想の一部に取り込まれることになったようだ。安斎はこの『冒険する組織のつくりかた』について、主な内容を紹介しながら、先述のフィードバック論を含め、過去の組織づくりに関する各論をまとめ上げた集大成ともいうべき一冊だという。
- 続いて2024年内に出版予定の本として紹介されたのが、弁護士・水野祐さんとの共著『ルールのデザイン(仮)』である。こちらのプロジェクトでは、現在企業の様々なルール・デザインの事例を収集している最中だという。また、2022年を中心にCULTIBASEでも多くの動画コンテンツを展開した『チームレジリエンス』についても、MIMIGURIのパートナー研究者である池田めぐみさんとの共著として刊行が予定されている。さらに2024年はこれらに加えて、MIMIGURIの小田裕和の単著の刊行も控えているため、概ねアウトプットの年になるだろうと安斎は述べる。
- 次に中長期的な研究テーマとして「2025年以降の出版構想」について。その話の前段として語られたのが、安斎の研究テーマの変遷である。安斎は研究のテーマは「レンズ(どんなものの見方で)」と「対象(どんな対象を捉えるか)」の掛け算によって決まるという。多くの研究者が「レンズ」か「対象」のうちどこかに軸足を下ろして活動を展開するが、安斎はこれまでの研究活動を振り返ると、良くも悪くもそれが定まっていないことが特徴的だったと話す。それでも自身の「関心のツボ」が大きく変わったわけではなく、特に「問い」「学び」「遊び」「場」の4つのテーマについては、常に強い関心を寄せてきたという。これら4点の根源的なデザイン領域に自身の研究アイデンティティがり、『問いのデザイン』が刊行されたいま、残りの3つが今後取り組んでいきたいテーマとして残っていると語る。
- 一つ目の「学び」は、安斎が大学生の時から”師”として仰いできた指導教官・山内祐平さんからの影響が大きいテーマだと語る。自身の著作に、学習論や育成論を中心に扱ったものはまだないことに触れながら、1990年に刊行され、今なお読まれ続ける名著『学習する組織』のオルタナティブとなるような書籍を書きたいのだと、展望を語る。
- 二つ目のテーマは「遊び」。時系列的には「問い」よりも先に強く関心を寄せていた領域だと安斎。安斎は大学院生の頃からワークショップデザインについて研究し、父である安斎利洋さんからの影響を受けながら、KDDIや資生堂など、名だたる企業のワークショップ設計を担う中で、遊び心を用いたワーク設計の探究を続けてきた。その知見を『遊びのデザイン』のテーマのもとまとめていきたいのだという。
- 最後のテーマは「場」。このテーマは先述のワークショップデザインとも密接に関わる概念であり、特に安斎は飯田美樹さんによる書籍『カフェから時代は創られる』に大きな影響を受けたことや、大学院生の時に実践した「Ba Design Workshop」などの話題に振れながら、「場(Ba)」という概念に魅了されていった背景を語った。こうした関心は、直近では先述の水野祐さんとの共著『ルールのデザイン(仮)』に繋がっている。
- これらの4つのテーマを概観しながら、今最も注力したいのが同じくMIMIGURIの共同代表を務めるミナベトモミと『学習する組織』のオルタナティブとなる書籍の執筆だと語る。新時代の組織づくりに必要な学習論をまとめ直す必要があり、その一環として、一度書籍化をとりやめた『フィードバックの作法』の再開や、キャリア学習の観点からアイデンティティの探究も視野に入ってくるだろう。自身のルーツと今後の展望を往復しながら語られる安斎の探究のあり方に今後も期待が集まっている。
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