8/22(火)に開催した「公開出版会議:新規事業の意味を問い直す」のアーカイブ動画です。今回は新規事業創出のマネジメントについて研究するリサーチャー・小田裕和が「大企業における新規事業創出」をテーマに、現在執筆中の書籍について語りました。
「公開出版会議:新規事業の意味を問い直す」のチャプター
09:59 小田のプロフィール
21:13 本書の執筆の背景と課題意識
29:38 PART1 | 大企業の新規事業創出における課題の深掘
36:33 そもそも新規事業はなんのため?
44:19 PART2 | マネジメント目線のトップダウンな3つのアプローチ
58:19 PART3 | 現場目線のボトムアップな3つのアプローチ
「公開出版会議:新規事業の意味を問い直す」のポイント
- 「公開出版会議」は、安斎勇樹(株式会社MIMIGURI代表取締役Co-CEO)をはじめ、MIMIGURIのメンバーが現在構想中の書籍を題材に、最新の知見をいち早くお届けする番組である。今回は、小田が現在執筆中で来年の春に出版予定の「大企業における新規事業創出」をテーマとした書籍(以下「本書」)を扱った。
- 小田は千葉工大でデザインを学ぶ中で、デザイナーになりたい思いを抱えつつ「デザインプロセスの研究」や「教育・ファシリテーション」への関心も抱いてきたと振り返る。MIMIGURIでの取り組みを通じて、現在は「考えたりつくりたくなる気持ちが付加してしまう場や道具をデザインする」というモチベーションが原動力になっていると語る。
- 小田は、大企業の新規事業創出に関わってきた中で、うまくいかなかったことや葛藤することも非常に多かったと振り返り、過去の経験も踏まえ新規事業創出に資する本を書きたいと述べる。アイディア出しの方法論や新規事業のPMFに関する本は充実している一方で、アイディアとPMFの間にある新規事業をつくる上で欠かせない豊かな組織づくりに関して論じた本は少ないと指摘し、本書ではアイディアが実り続ける場のデザインを掘り下げたいと語る。
- 本書のPART1では、新規事業創出の現場で起きがちな現状の景色感を整理しつつ豊かな土壌形成につながる新規事業のあり方をビジョンとして提示する。小田は、新規事業創出に当たっては短期的に実りだけを得ようとする姿勢が往々にしてあり、その結果現場は疲弊し土壌が痩せていってしまうと語る。
- また、そもそも新規事業はなんのための活動なのか問い直すことも重要だと語る。事業創出、人材育成だけではなく、知識創造に寄与するための組織学習、組織的な社会関係資本という観点での評価も必要だと語る。
- PART2ではマネジメント目線のトップダウンな3つのアプローチについて提示する。小田は、新規事業を起こす現場メンバーの変容を追求するより、上司も含めた私達の価値観を変容させることがイノベーティブなアイディアを生み出す際に必要だと述べる。小田は新規事業施策は理念やパーパスを起点に組織アイデンティティを問い直す活動でもあると語り、現場に頑張らせるという活動ではなく、マネジメント観点から豊かな施策にしていくための観点について執筆予定だと語った。
- PART3では、現場目線のボトムアップな3つのアプローチについて提示する。小田は、アイディア自体にオリジナリティを求めがちだが解決策以上に課題設定が大事であると指摘する。京セラのアレルギー児向けのミールキットサービスを例に取り、アレルギーを持つ子供の孤独感を課題においたことで仲間も集まったように人はアイディア以上に課題のストーリーに心を動かされると述べた。