ワークショップデザイン概論:学習と創造の場づくり

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約108分

9/4に開催された「ワークショップデザイン概論:学習と創造の場づくり」のアーカイブ動画です。

資料

前半安斎パート資料
後半田幡パート資料
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チャプター

00:11 イントロダクション(企画の背景・登壇者紹介)
12:41 安斎のワークショップ実践の変遷
22:55 広義の”ファシリテーション”の輪郭を整理する
34:12 ワークショップの歴史的系譜
46:02 ワークショップの意義・効果・特徴
59:04 ワークショップデザインの方法:ファシリテーションの基本ステップ
1:12:48 オンラインワークショップの実践ポイント
1:24:03 オンラインワークショップの限界と可能性
1:29:03 アフタートーク

<今週のポイント>
・広義のファシリテーターの役割は、「小規模」な1on1や短時間のミーティングから、「大規模」なプロジェクトや組織ルーティンの改善まで、様々な階層でファシリテーションが求められる中で、ワークショップデザインは数時間から数日間に及ぶ「中規模」な場を効果的に設計する方法論のひとつだと言える
・ワークショップは、これまで100年にわたって実践されてきた。領域も多岐にわたり、「芸術創造」や「まちづくり」、「教育」、「人材育成」などが含まれる。
・目的・意義も実践ごと異なる点もワークショップの大きな特徴の一つである。安斎は主要な目的を「省察型」「高次学習型」「創発型」の3種類に分類しながら、それらの境界は曖昧であり、混じり合っていることも多いと語る
・しかし、ある程度時間をかけて「深堀り」や「拡がり」が行われる点や、トップダウン型の方法では生み出しにくい学習と創発を起こすことを得意とする点が、いずれの目的のワークショップにおいても共通している。
・安斎はワークショップは「工房思考」を体現する活動であり、「考え方」の一つでもあると述べる。元来「カウンターカルチャー」として発展してきた経緯を持ち、トップダウンに対抗する思想や行為の結果として、組織やチームの新しいまなざし(認識)の獲得や、関係性の再構築をもたらしてきた。これらを総合して、安斎はワークショップのエッセンスを「非日常性」「民主性」「実験性」「協同性」「批判性」の5つにまとめている
・ファシリテーションは、「Plan」「Do」「See」のサイクルを「See」を起点に回していく活動とも言える。また「大規模」なプロジェクトを設計する上でも、プロジェクトの「Plan」「Do」「See」の大きなサイクルの中に、ワークショップを始めとした「中規模」の場の「Plan」「Do」「See」のサイクルが含まれる「入れ子構造」になっていることを意識すると良い
・オンラインワークショップでよく言われる課題として、「発話の起きにくさ」や「画面をオンにしてくれない」などが挙げられる。田幡はこれらの課題を解決する上で、「心理的ハードル/技術的ハードルを捉え、打ち手を打つ」ことと、「推奨行動を明示/暗示し、実際に行う軌道を作る」の2点が効果的だと述べる。また、プログラムデザインの工夫として、操作に慣れる活動をアイスブレイクなどのかたちでプログラムに組み込んでいくことも有効である
・あるいは、運営内でチャットツールを用いて、時間管理やチアアップなどを目的にファシリテーター同士で連携を取り続けることも効果的である
・ただし、オンラインワークショップにも限界があると田幡は指摘する。その一つが人数の問題である。オンラインで深い対話や活発な創発が起きるのは、最大5~6人であり、その人数規模を意識したグループワークの設計が重要となる。また、ワークショップの前後に発生していた経験がなくなるため、「体験としてのリッチさ」が乏しくなりやすい傾向にある
・他方で、「参加方法や参加者の多様性は確保」や、「ツールを活用によって、時間や場所を非同期に行ったり、ファシリテーターの負担を軽減したりすることができる」などがオンラインワークショップの可能性としてあり得ると田幡は述べる。

CULTIBASE Labは昨年11月に名称変更を行うまで、「WORKSHOP DESGIN ACADEMIA(WDA)」という学習プログラムとして運営していました。WDAではその名の通り、ワークショップデザインとファシリテーションを専門的に学ぶ場として、安斎が10年以上にわたって研究と実践を続けてきた成果を中心にコンテンツを展開していましたので、今回は、ある種「原点回帰」として位置づけられるイベントになっていたかと思います。もしかすると、前半の話題提供に懐かしさを感じた方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、扱う場のスケールが「中規模」のワークショップデザインから、「大規模」の組織づくりに変わったからといって、根本の思想が変わるわけではありません。特に前半の安斎の話題提供は、ボトムアップ型の組織づくりを行う上で、WDA時代から大事にされてきたエッセンスを改めて再確認できる内容だったと思います。その上で、後半に進むにつれて、より広い枠組みの中でワークショップを捉えたり、オンライン下での実践のポイントが語られたりと、CULTIBASE Labになったからこそ得られた知見が語られたり、WDAからCULTIBASE Labへと変化する上でアップデートされたポイントも随所に見られます。ややメタ的ではありますが、ぜひそのような視点からもお楽しみいただけたら幸いです。 また、ワークショップデザインやファシリテーションの知見をもっと深く学びたい方は、以下のコンテンツパッケージにWDA時代の動画がまとまっていますので、ぜひこちらも合わせてご覧ください。

▼ワークショップデザイン概論
https://www.cultibase.jp/packages/5311

▼ワークショップ・ファシリテーション入門
https://www.cultibase.jp/packages/5319

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この動画が含まれているパッケージ

出演者

株式会社MIMIGURI 代表取締役Co-CEO

東京大学大学院 情報学環 客員研究員

1985年生まれ。東京都出身。私立武蔵高校、東京大学工学部卒業、東京大学大学院学際情報学府博士課程修了。博士(学際情報学)。株式会社MIMIGURI 代表取締役Co-CEO/東京大学 特任助教授。

企業経営と研究活動を往復しながら、人と組織の可能性を活かした新しい経営・マネジメント論を探究している。主な著書に『問いのデザイン』、『問いかけの作法』、『パラドックス思考』、『リサーチ・ドリブン・イノベーション』、『ワークショップデザイン論』『チームレジリエンス』などがある。

X(Twitter)noteVoicyhttp://yukianzai.com/

東京農工大学農学部卒業。奈良県立大学地域創造研究センター共同研究員。アパレル企業での販売/店舗マネジメント、研修会社でのコンサルティング/コンテンツ開発などの業務に従事後、2019年に前身であるミミクリデザインに参画。生態学、環境倫理学、文化人類学、教育学、心理学などを基に「人間にとっての自然さ(の回復)」を探究しながら、事業開発や組織開発のプロジェクトのファシリテーション及びその方法論の開発を行っている。元来、人間以外の生物が好き

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