新時代の組織づくり・特別補講

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約70分

7/25(火)に開催した「新時代の組織づくり・特別補講」のアーカイブ動画です。本イベントでは、先日6/27(木)に開催した講座『新時代の組織づくり』の特別補講として、主要な理論を改めておさらいしながら、誤解されがちなポイントや、現場目線でモデルを活用する際に意識しておくべきことなどについて安斎が補足解説を行いました。

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「新時代の組織づくり・特別補講」のチャプター

06:05 本日の「特別補講」のねらい
17:29 自己実現とはなにか?
21:54 新時代の整合性モデル:CCM
27:57 ここでいう”整合”とはどういうことか
38:01 中央の”探究の整合”とは?
46:49 組織アイデンティティの探究がなぜ必要か
59:00 現場におけるボトムアップのCCMの活用方法
1:06:27 今後の展望

「新時代の組織づくり・特別補講」のポイント

  • 安斎は、6/27(木)に開催した講座『新時代の組織づくり』を振り返り、当日視聴・アーカイブ合わせて2,670人以上の方に視聴いただき満足度も98%と大きな反響を得られたと語る。今回は改めて内容をおさらいしつつ、説明が不足していた「理論編」について補足解説を行い、「実践編」で語りきれなかったポイントのうちいくつかを解説する。
  • まず前提となる思想として、安斎は軍事的世界観で構成された組織論やビジネス論を、冒険的世界観にアップデートしていきたいと語る。個々人のキャリア観は会社中心から人生中心へと変化し、チーム観においても、任務別の小隊から個性を活かし合う共同体へと変化している。ビジネス観もまた「敵国に勝利して領地を奪い取る」ものから資源に限りがあるこの社会の「よりよい可能性を拓く」ためのものへと前提がシフトしつつある。
  • このように価値観のシフトする中で、経営・マネジメントのやり方も変えていく必要があり冒険的世界観へのアップデートが求められるが、では世界観を変えるとは具体的にどのような営みを指すのだろうか。安斎は世界観とはOSであり世界を眺めるレンズと捉えられると語る。新しいOSで使えるアプリ(やり方)もあればアップデートしないとうまく機能しないものもあるように、過去の方法論をすべて捨て去るわけではなく基盤となる考え方に合わせて変えていくものだと述べる。
  • 冒険的な組織づくりにおいては、安斎は社会的価値の探究と個々の自己実現の探究という矛盾を止揚し、両立を諦めない共同体をつくることが重要だと語る。自己実現とは、自分の潜在的な動機や能力を最大限に活かしてそれが他者・社会貢献に繋がっている状態である。外から求められる外的価値(アウトサイド)とうちから湧いてくる内的動機(インサイド)はしばしば折り合いがつかず、外部環境が変わることでゆらぐこともあるが、外的価値と内的動機の結びつきを探究し時に刷新することがアイデンティティの発達となる。
  • こうしたインサイドとアウトサイドの縦構造を組織の入れ子構造的につなげていくのが、MIMIGURIが提案する「新時代の整合性モデル:CCM」である。自己実現の集積が社会的価値に繋がっているような、探究の整合を目指すことが組織づくりの肝だと安斎は主張する。
  • 事業構造、組織構造、業務構造が整合している状態は、それぞれの階層が機能として合理的に噛み合っている状態であり論理的かつ客観的に判断可能な機能的整合を指す。一方で、ブランド、組織文化、職場風土が整合している状態は、組織の外の顔、実際の性格、内向きの振る舞いに精神的な違和感がないか、物語的に繋がっていると感じられるかどうかといった精神的整合を指す。
  • では機能的整合と精神的整合の中央にある探究の整合とは何を指すのだろうか。探究の整合は、静的な状態ではなく動的な活動だと安斎は語る。探究は、問いを起点として知の探索と深化をT字型に進める営みであり、いいかえれば「こだわり」を追究しつつ「とらわれ」を疑い問い直すことを続ける行為である。
  • 安斉はイベントにおいて、特に自己実現と事業ケイパビリティが直結している人から「組織アイデンティティの探究」に必要性について質問を複数もらったと語る。個人の自己実現と事業が結びついていることは素晴らしいとした上で、組織が拡大すると必ず「間接部門」の重要性が増えていくため、事業に直結しないメンバー含めた全員が自己実現を諦めずに組織にいる意味を感じられる組織づくりが必要であり、この可能性を模索できるのがCCMの意義だと述べる。
  • 今後の展望としては、旧CCM(樹木モデル)との兼ね合いなども含めたモデルデザインの検討、具体的な「組織デザイン論」「事業デザイン論」「職場デザイン論」の体系化、具体的なプロセスモデルの研究開発などを進めていく。

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出演者

株式会社MIMIGURI 代表取締役Co-CEO

東京大学大学院 情報学環 客員研究員

1985年生まれ。東京都出身。私立武蔵高校、東京大学工学部卒業、東京大学大学院学際情報学府博士課程修了。博士(学際情報学)。株式会社MIMIGURI 代表取締役Co-CEO/東京大学 特任助教授。

企業経営と研究活動を往復しながら、人と組織の可能性を活かした新しい経営・マネジメント論を探究している。主な著書に『問いのデザイン』、『問いかけの作法』、『パラドックス思考』、『リサーチ・ドリブン・イノベーション』、『ワークショップデザイン論』『チームレジリエンス』などがある。

X(Twitter)noteVoicyhttp://yukianzai.com/

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