6/20(火)に開催した「組織の硬直化を防ぐ、新たなルールデザイン論」のアーカイブ動画です。本イベントでは、講師の安斎がこれからの組織づくりにおける「ルールデザイン」論の重要性や可能性を語りました。
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寄稿原稿:組織を遊ぶ、ルールのデザイン論はこちら
「組織の硬直化を防ぐ、新たなルールデザイン論」のチャプター
04:19 チェックイン:組織における「良いルール」「悪いルール」とは?
10:40 出版企画のきっかけ
21:40 軍事的ルール論ではなく冒険的ルール論を
31:27 本書の問題設定
49:44 「組織の硬直化」とは?
56:31 ルールデザインと組織文化の関係
「組織の硬直化を防ぐ、新たなルールデザイン論」のポイント
- 「公開出版会議」は、安斎勇樹(株式会社MIMIGURI代表取締役Co-CEO)をはじめ、MIMIGURIのメンバーが現在構想中の書籍を題材に、最新の知見をいち早くお届けする番組である。今回は、安斎が現在執筆中の「ルールのデザイン」をテーマとした書籍(以下「本書」)を扱った。
- 安斎は、今回の出版企画が立ち上がったきっかけとして水野祐氏との出会いをあげる。2021年8月に行ったCULTIBASE Labのイベント「職場の創造性を高めるルールのデザイン」での水野との対談、問のデザインやパラドックス思考の出版を経て、ルールデザインと創造性、遊びの関係性の探究意欲が湧いたと述べる。
- また、軍事的世界観で構成された組織論やビジネス論を、冒険的世界観にアップデートしていくのが、MIMIGURIのミッションだと安斎は語る。個々人のキャリア観は会社中心から人生中心へと変化しており、有りたい人生を実現するための一つの構成要素として会社が存在するようになった。チーム観の変化としては、任務別の小隊から個性を活かし合う共同体へと変化し、1人では生み出せない成果を目指すようになった。ビジネス観もまた「敵国に勝利して領地を奪い取る」ためのものではなく、資源に限りがあるこの社会の「よりよい可能性を拓く」ためのものに、前提がシフトしている。
- 同様に、学習観においても軍事的な学習観から冒険的な学習観にアップデートする必要がある。これまでの軍事的な学習観は行動主義に基づいており行動の修正が学びとされてきた。これまでのルール関連の書籍においても、ルールデザインを行動主義的に捉えたものが多く、ルールを破ることが創造性につながるとの主張も見られる。
- しかし統率を取るための行動主義的なルール論ではなく、組織の人の可能性を生かすためのルールや、ルールがあることによって創造性が刺激され、創造的な組織文化を耕していくような冒険的ルール論がありうるのではないかと安斎は語る。
- 昨今様々な組織課題があるが、大きくは「順応性の問題」「創造性の問題」「心理的安全性の問題」の3つに分けられると安斎は指摘する。こういった問題が絡まることによって、悪循環的に組織が固まりいわば変わりたくても変われない硬直化が起きると語る。これらの問題の根源に組織のルールがあるのではないかと語り、本書の問題意識として提示したいと述べた。
- ルールとは人々の行動と思考を方向づけるための規範であると定義される。ルールは、社会生活に秩序をもたらす一方、知らない間に思考停止させられることもある。他方で、思考を刺激し考える必要のあるルールもある。このように、秩序を保つ守りのルールと人と組織の可能性を広げる攻めのルールがあり、このバランスを上手く取ることが変化に強く創造的な組織文化につながるのではないかと語る。
- 組織文化には様々な定義があるが、本書では組織を特徴づける共有された規範と定義される。それぞれの定義を踏まえると、ルールと組織文化は相似形としてとらえることができ、組織のルールをデザインすることは、組織文化をデザインすることに他ならないと指摘する。
- 大きい会社ほど、内部志向で統率性が高い官僚的文化が強くなりがちだが、外部志向で柔軟性の高い冒険的文化への移行を提案していきたいと締めくくった。