問いのデザイン力を磨くには?マネジメントの質を高める5つのエクササイズ

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約35分

先日10/3に開催したイベント「チームを覚醒させる『問い』のデザイン:新時代のミドルマネジメントの真髄」では、ミドルマネージャーが軍事的世界観を持つ組織から、冒険的世界観に根ざした組織へと転換するための「問いのデザイン」について、書籍『問いのデザイン』著者である安斎自ら解説しました。

チームを覚醒させる「問い」のデザイン:新時代のミドルマネジメントの真髄

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今回はその補足的なコンテンツとして、問いのデザイン力を鍛えるための5つのエクササイズを紹介します。

「問いのデザイン力を磨くには?マネジメントの質を高める5つのエクササイズ」のチャプター

00:11 現代組織に「問い」のデザインが必要な理由
03:41 エクササイズ(1):好奇心のセンサーを磨く
10:09 エクササイズ(2):バイアス・ハンティング
15:26 エクササイズ(3):リフレーミング1000本ノック
21:55 エクササイズ(4):暗黙知インタビュー
27:52 エクササイズ(5):マネジメント考古学

「問いのデザイン力を磨くには?マネジメントの質を高める5つのエクササイズ」の概要

■エクササイズ(1):好奇心のセンサーを磨く
「問うこと」の根底には、常に「好奇心」が存在すると安斎は言う。この好奇心は、本来誰しもが持っているが、軍事的な組織においては重要視されず、封殺されがちなものでもある。好奇心のスイッチは、偏愛、憧れ、共感などさまざまだが、安斎は特に着目してほしいものとして「違和感」を挙げる。

好奇心のスイッチとしての「違和感」を放置しないためのエクササイズとして、安斎は「この1週間で、仕事をしながらうっすら感じながらもスルーしてしまった『違和感』を書き出す」と語る。この活動によって、周囲の人の発言やニュースなどで、自分がどんな違和感をキャッチしつつも、「まぁいいか」となかったことにしようとしていたのか、メタ認知をして捉える視点を養っていくのである。

■エクササイズ(2):バイアス・ハンティング
軍事的組織が抱える病理のひとつとして、個人の認識やものの見方が固定化することが挙げられる。固定化された認識は、「こだわり」としてよい効果をもたらす側面もあるものの、時には疑うべき「とらわれ」にもなりうる。自分自身の認識がその両側面を持つこと意識し、有効に活用するためのエクササイズとして提唱されたのが、二つ目の「バイアス・ハンティング」である。

このエクササイズは、「1週間、職場に潜む『バイアス』をひとつでも多く探し、見つけたものをすべて書き出す」というもの。特に何かを評価するような発言が見られた時、その背景には、発言者が持つ価値観や固有のものの見方が隠れている事が多い。必ずしもそのバイアスをすべて揺さぶりにかかる必要はないが、そのバイアスの存在に気づく力を鍛えることは重要である。

■エクササイズ(3):リフレーミング1000本ノック
物事を違った観点から捉え直す「リフレーミング」は、固定化された認識を解きほぐす上でも重要な概念のひとつである。特に、『問いのデザイン』の中でも紹介されている、「目標設定のリフレーミング」や、「名詞(モノ)を動詞(コト)として捉え直すことで、発想力を広げる」といったコツを実践するにあたって、このリフレーミングは欠かせない力である。また、リフレーミング力は、組織課題を技術的課題(やり方を知っていれば解ける問題)と適応課題(当事者が認識や関係性を変えなければ解決しない問題)に切り分けて考える際にも求められる力でもある。

リフレーミング力を鍛えるためのトレーニングとして、安斎は「すでに設定された職場の目標や課題の『別の解釈』を探り、片っ端から”脳内リフレーミング”をしてみる」ことを挙げる。その際に、先述のエクササイズ(1)(2)を活用し、違和感やバイアスを手がかりにし、技術的課題と適応課題の切り分けにチャレンジする意識で臨むと、複合的に問いのデザイン力を鍛えることができるため効果的である。

■エクササイズ(4):暗黙知インタビュー
このエクササイズでは、安斎の著書のひとつ『問いかけの作法』の中で、「問いかけ」を行う際のモードのひとつとして紹介される、「フカボリモード」の技を使う。安斎は他者のこだわりを深掘りし、根底の価値観を探るためのテクニックの一例として、「素人質問」「ルーツ発掘」「真善美」の3つを解説。これらを使って、「周囲のエキスパートの暗黙知を引き出す」ことが、今回のエクササイズの本旨である。会社の上司や先輩、あるいは施術中の整体師など、さまざまなプロフェッショナルとのコミュニケーションのなかで、問いのデザイン力を鍛えていくのだ。

■エクササイズ(5):マネジメント考古学
マネジメントは、問題解決の積み重ねである。そして、問題解決に向き合ってきたプロセスには、必ず「問いの歴史」が存在する。問題は解決すれば忘れられてしまうため、これらの「歴史」は必ずしも社史に残るわけではない。しかし、その歴史を紐解くことで、未来の問い(問題)を考えるヒントが得られると安斎は語る。

安斎は、過去のプロジェクトを事例として出しながら、組織が解決してきたこれまでの「問いの歴史」を振り返り、これから訪れるであろう「未来の問い」を考えてみることが、組織課題をあぶり出す問いのデザイン力を鍛えるトレーニングになり得ると解説した。

【番組「PLOT」について】
CULTIBASE Labの番組「PLOT」では、安斎勇樹がメインパーソナリティを務め、ゲストを招聘した対談コンテンツや、現代組織に必要なマネジメント論が学べる講義をお届けします。

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出演者

株式会社MIMIGURI 代表取締役Co-CEO

東京大学大学院 情報学環 客員研究員

1985年生まれ。東京都出身。私立武蔵高校、東京大学工学部卒業、東京大学大学院学際情報学府博士課程修了。博士(学際情報学)。株式会社MIMIGURI 代表取締役Co-CEO/東京大学 特任助教授。

企業経営と研究活動を往復しながら、人と組織の可能性を活かした新しい経営・マネジメント論を探究している。主な著書に『問いのデザイン』、『問いかけの作法』、『パラドックス思考』、『リサーチ・ドリブン・イノベーション』、『ワークショップデザイン論』『チームレジリエンス』などがある。

X(Twitter)noteVoicyhttp://yukianzai.com/

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