人と事業の“まだ見ぬ可能性”を信じるには? 難題を解きほぐすチーム・ファシリテーションの眼差し

ビジネス現場のとらわれをリフレームし新たな価値観を探究する番組「観変え中」、第3回のテーマは「ファシリテーション観」。

ファシリテーションについて、従来の論理的・機能的支援と、冒険的世界観の”まだ見ぬ可能性に向けた支援”の2つの視点で語られています。今回もCCM(新・整合性モデル)を見取り図に、事業デザインや職場デザインそれぞれの場面における、ファシリテーションを考えました。軍事的世界観が染み付いた人材の”鎧”を解くことや、個人の自己実現と事業成長のバランス、チームでの不確実性への対処などについて探究しています。

また、今回も「グラフィックレコーディング」を導入。動画内の要所要所でグラフィックレコーディングを振り返りながら、より分かりやすくお届けします。

※前回の観変え中「組織学習は“物語の探究”から始まる。変化の鍵は「自己」の捉え直し」と合わせてご覧いただくと、よりお楽しみいただけます。

「人と事業の”まだ見ぬ可能性”を信じるには? 難題を解きほぐすチーム・ファシリテーションの眼差し」のチャプター

03:42 ファシリテーションとは何か?
08:35 冒険的世界観のファシリテーションを考える
19:10 事業デザインにおけるファシリテーション
36:03 職場デザインにおけるファシリテーション
54:36 ファシリテーション観のシフト
01:03:17 収録アフタートーク

「人と事業の“まだ見ぬ可能性”を信じるには? 難題を解きほぐすチーム・ファシリテーションの眼差し」のポイント

  • 今回の観変え中のテーマは「ファシリテーション観」。前回テーマにした「学習」に密接なものとしてファシリテーションがある。学習観の捉え直しに伴い、今回はファシリテーションの捉え直しを行っていく。
  • ファシリテーションという言葉の辞書的な意味合いとして安斎は「(物事を)容易にする、促進する」という言葉を挙げた。
  • 安斎・ミナベは、子どもの学習をいかにファシリテーションするかという例について対話しながら、従来のファシリテーション(軍事的ファシリテーション)は、論理的・機能的な支援であると述べた。
  • 一方で冒険的世界観のファシリテーションは、精神的な支援や、まだみぬ可能性に向けた支援であると話す。「ものの見方が変わることも学習である(前回テーマ「学習観」を参照)」としたときに、ものの見方やアイデンティティの変容など、その人の可能性を信じながら、中長期で向き合い続けるものではないかと安斎は述べた。
  • 話題は、CCM(新・整合性モデル)を見取り図にした「事業デザイン/職場デザインにおけるファシリテーション論」に移る。ミナベは「現場や実際の企業において具体的にどのようなファシリテーションをしていくかについて考えていきたい」と述べた。
  • 事業デザインにおけるファシリテーションは「事業長たちの”鎧”を解くこと」が鍵になる。軍事的世界観に慣れた人材は”鎧”を纏っており、責任を追及されないようなコミュニケーションが染み付いてしまっていると安斎は話す。
  • しかしそのような状態は、意味の問い直しや価値の探究において阻害要因となってしまうとミナベは語る。鎧を解くには、相手の感情からアプローチするのではなく、まず「こと」をベースとした不確実性について議論していくことが重要だと述べた。
  • 軍事的事業推進は、計画に沿った目標達成ができるか否かの世界観。一方で冒険的世界観の事業づくりは、”物語づくり”的な見方ができる。そのような前提において、「思いの外、この事業が伸びている」というような計画外に対して、意味づけして場に出しファシリテーションしていくことも重要なのではないかと安斎は述べた。
  • 続いて、CCMを見取り図に「職場デザインにおけるファシリテーション」について考える。自己実現を相互に支援するコミュニティ(職場)をどう作っていくかという観点では、まず自己実現の難しさについて認識する必要があると安斎は語った。
  • 昨今、価値観が多様化する中で、例えば「成長を緩めたい」というような自己実現欲求も増えている。従来の右肩上がりの成長を前提とした物差しではなく、多様な物差しで職場のファシリテーションを行う必要がある。
  • しかし、このような状態においては、事業成長観点からのプレッシャーと、メンバーの自己実現欲求の間に矛盾が発生する。その中でどうファシリテーションをしていくと良いのかを考えた時、「個別の課題解決」はバッドパターンである。その具体的な例として「1on1ばかりに閉じた世界」についてミナベは語った。
  • 1on1で不安な個人個人に向き合うのではなく、個人の状況や価値観などについて当たり前にチームの場に出される状況を作った上で、それぞれの不確実性が持ち込まれ、そこにチーム主語で向き合うことが重要である。
  • 冒険的世界観におけるファシリテーションは、一つの価値基準だけでなく多様な角度で物事を捉えることが鍵であると結論づけ、第3回の観変え中を締め括った。

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出演者

株式会社MIMIGURI 代表取締役Co-CEO

早稲田大学卒業後、家電メーカー勤務を経て独立。現在は、MIMIGURIが提唱するCCM(Creative Cultivation Model)の理論開発を基盤に、大企業からメガベンチャーまで様々な多角化企業における、経営・組織変革の専門家として自社経営とコンサルティングにおいて実践を進めている。

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株式会社MIMIGURI 代表取締役Co-CEO

東京大学大学院 情報学環 客員研究員

1985年生まれ。東京都出身。私立武蔵高校、東京大学工学部卒業、東京大学大学院学際情報学府博士課程修了。博士(学際情報学)。株式会社MIMIGURI 代表取締役Co-CEO/東京大学 特任助教授。

企業経営と研究活動を往復しながら、人と組織の可能性を活かした新しい経営・マネジメント論を探究している。主な著書に『問いのデザイン』、『問いかけの作法』、『パラドックス思考』、『リサーチ・ドリブン・イノベーション』、『ワークショップデザイン論』『チームレジリエンス』などがある。

X(Twitter)noteVoicyhttp://yukianzai.com/

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