なぜミドルマネジメントは難しいのか? 経営と現場の「あわい」で躍動するチームづくりの勘所

ミドルマネージャーは、経営と現場の”あわい”に位置する重要なポジション。一方で、業務の多さに日々忙殺されてしまったり、経営と現場の板挟みになり“調整役”に終始してしまったりするうちに、疲弊してしまう方も多いのが現状です。

加えて、ミドルマネージャーの難しさは「役割の曖昧さ」にもあります。経営と現場のあわいに位置するがゆえに、ミドルマネージャーが担うスコープは多岐に渡り、その整理をすることだけでも容易ではありません。

4回目の配信となった本番組「観変え中」では、ミドルマネージャーの役割を「職場風土づくり」「業務マネジメント」の2つに大別し、新たな「ミドルマネジメント観」について探究していきます。

「なぜミドルマネジメントは難しいのか? 経営と現場の「あわい」で躍動するチームづくりの勘所」のチャプター

03:07 ミドルマネジメントの定義
07:15 ミドルマネジメント論をどう変えていくか?
15:17 職場風土づくり
26:44 業務マネジメントについて
41:44 主体的・自律的なチームを作るための第一歩

「なぜミドルマネジメントは難しいのか? 経営と現場の「あわい」で躍動するチームづくりの勘所」のポイント

  • 第4回観変え中のテーマは「ミドルマネジメント観」。ミドルマネージャーは定義が曖昧であり、「年代」を想起する人もいれば、「課長職」や「部長職」などいわゆる”中間管理職”と呼ばれる立場を指すこともある。今回は中間管理職といった意味合いで扱っていく。
  • ミドルマネジメント論をどう変えていくか?という問いに対してミナベは、ミドルマネージャーの「自由と裁量」の課題を挙げた。しかし、ミドルマネージャーが自由に裁量を持って働くための仕組みづくりを、経営側が放任しやすいという点を指摘する。ミドルマネージャー自身も裁量の獲得に対して待ちの姿勢であると、両者がお見合い状態になりがちなのではないかと述べた。
  • 安斎は、経営からのミドルマネージャーへの期待を明示する必要があるのではないかと述べた。一方でそれは容易なことではなく、まずはミドルマネージャーのスキルや役割について考えた。
  • 続いて、ミドルマネジメントの重要な役割の一つ「職場風土」づくりにテーマを移した。ミナベは、組織全体として標榜された「組織文化」と、実際の「職場ごとの風土」は異なることを指摘。例えば、組織が冒険的世界観を重要だと定義していたとしても、ミドルマネージャー次第で、軍事的世界観のチームになることもあると述べる。
  • 安斎は、ミドルマネージャーが職場風土づくりをする時、組織文化で標榜されたものと全く同じようにしなくてはと考えるのではなく、文化を体現しつつも「自分たちのチームらしい風土」を作っていっても良いのではないかと述べた。
  • 組織文化をそのまま体現しようとするあまり、それに固執してしまい、逆に職場風土が悪くなることもある。組織文化を、各職場で再解釈したり仕組み化したりすることが、必要なのではないかとミナベは述べた。
  • 2つ目の大きなテーマとして話されたのが「業務管理」について。業務設計や業務変革を専門分野としているミナベは、業務管理というとタスクオペレーションが想起されがちだが、タスクオペレーションのみのモデルは既に否定されていると述べた。
  • 産業革命といった、まさに”軍事的世界観の時代”から、業務管理のモデルは大きく発展をしている。ミナベは、アンリ・ファヨールの経営管理論、サイモンの意思決定論など、経営理論が発展した歴史を解説した。
  • 続いてミナベは、「外部環境の不確実性」を捉えつつ意思決定ができるシステムを作ることが重要であるという、組織構造デザインの大家 ガルブレイスの考え方を取り上げた。
  • 一方で、不確実性を処理する経営統治構造を作ることの限界点として、経営者も一人の人間であり、経営者だけでは不確実性の処理はできない。そこでスクラム論文を発表した野中郁次郎の考え方を取り上げた。外部の不確実性に対して受動的に対応するのではなく、自ら能動的に外部環境に働きかけ、組織内部の有機性を上げた結果、イノベーションが起こるのではないかと述べた。
  • 安斎はミナベの解説を踏まえ「ファヨール時代の考え方など、軍事的世界観のミドルマネジメントが染み付いている場合、どこからアンラーニングすると良いか」と問う。ミナベは、自社の業務システムのどこに課題があるのかを見極める重要性について述べた。

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株式会社MIMIGURI 代表取締役Co-CEO

東京大学大学院 情報学環 客員研究員

1985年生まれ。東京都出身。私立武蔵高校、東京大学工学部卒業、東京大学大学院学際情報学府博士課程修了。博士(学際情報学)。株式会社MIMIGURI 代表取締役Co-CEO/東京大学 特任助教授。

企業経営と研究活動を往復しながら、人と組織の可能性を活かした新しい経営・マネジメント論を探究している。主な著書に『問いのデザイン』、『問いかけの作法』、『パラドックス思考』、『リサーチ・ドリブン・イノベーション』、『ワークショップデザイン論』『チームレジリエンス』などがある。

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株式会社MIMIGURI 代表取締役Co-CEO

早稲田大学卒業後、家電メーカー勤務を経て独立。現在は、MIMIGURIが提唱するCCM(Creative Cultivation Model)の理論開発を基盤に、大企業からメガベンチャーまで様々な多角化企業における、経営・組織変革の専門家として自社経営とコンサルティングにおいて実践を進めている。

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