新番組「観変え中(かんがえちゅう)」が始まります。この番組は、株式会社MIMIGURI 代表取締役Co-CEOの安斎勇樹と、同じく株式会社MIMIGURI 代表取締役Co-CEOのミナベトモミが、特定の「○○観」をテーマにし、ビジネス現場の“とらわれ”をリフレームしつつ、新たな価値観を探究する番組です。番組名には「○○観を変える」という意味と「考え中である」という意味が込められています。
第1回配信のテーマは「対話観」。イベント「新時代の組織づくり」における整合性モデルを見取り図にしながら、軍事的世界観における対話と、冒険的世界観における対話について考えました。
「軍事から、冒険へ。対話論のパラダイムシフト」のポイント
「軍事的世界観」と「冒険的世界観」について
- 新番組「観変え中(かんがえちゅう)」が始まった。この番組では、冒険的世界観にシフトすることで、不確実性の中で新たな価値を見つける旅に出ていく組織論の方向性を提案していく。番組のコンセプトは軍事的世界観から冒険的世界観へのシフトの中で、新しい価値観の探究をすることである。
- 昨今語られている組織論やマネジメント論の多くは、「戦争」を背景にもつ、いわば軍事的な世界観に基づくものである。安斎が先日登壇した無料イベント「新時代の組織づくり」では、旧来の「軍事的世界観」の組織から、「冒険的世界観」の組織へと転換していくことの必要性と、そのためのモデルが語られた。
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- 他方で「軍事的世界観には対話は一切ない」と誤解している人も多いのではないか、と安斎は言う。軍事的な対話は組織開発の源流のひとつでもある。軍事的世界観では、傷ついた人々をケアするための手段として、対話が重要視されていたのだ。
- ミナベと安斎は、こうした対話によるアプローチも重要であるとしながら、冒険的世界観においては、対話に求められる「質」が異なることを指摘する。今回の「観変え中」では、こうした対話観のパラダイムシフトに迫っていく。
「職場デザイン」の整合性を作っていく対話
- そもそも、なぜ冒険的組織に対話が必要なのか。ミナベは、「新時代の組織づくり」の中でも語られていた、「職場デザイン」の観点から解説する。職場デザインの整合を図るには「個々の自己実現」が肝である。分業化が進んだ大きな組織では、部門や職場ごとに「組織アイデンティティ」と「自己実現」を繋げる必要があり、対話を通じて一体感を作り出すことが重要になるのだ。
- また安斎は、凝り固まった組織においては、一人ひとりの内発的な動機にふたがされがちな点を挙げ、それを解きほぐすために対話が必要だと述べる。たとえば、隣の席の人がどのようなキャリアビジョンを持っているのか知らない場合もあるだろう。仕事の面白さや自己実現などについて、まずは共有することが「冒険的対話」の始まりではないかと語る。
- 軍事的世界観における対話では、「軍略理解」が優先され、認識がずれないための対話を行う。一方で、冒険的対話では、個々人の認識がずれていた場合に「なぜなのだろう?」と興味を持ち、その背景にある価値観や前提をすり合わせ、船の向きを揃えていくことが特徴的であり、軍事的な対話との大きな違いである。
「事業デザイン」の整合をつくる対話
- また、対話は「職場」の関係性だけでなく、事業のデザインにおいても重要な役割を果たす。例えば、スタートアップの段階では1プロダクトであっても、企業が大きくなれば、複数プロダクトを持つようになる。
- はじめはひとつのプロダクトだけを育てていけばよかった状況から、プロダクトの数が増えていくにつれて、それらの提供する意味を整合させていく必要が生じる。各論でそれぞれのユーザーだけを見ていると、 統合的なサービス展開ができず、整合性が取れなくなり停滞することがあるとミナベは指摘する。
- 各論で見るのではなく、プロダクト全体を通して、社会をどう捉え、変えていくのかという目線を持つことが重要である。そしてそのために、 経営チームや部門長同士が対話していくことが重要なのだとミナベは言う。また安斎は、先ほどの「職場デザイン」の話と関連づけながら、特に経営者の職場である経営チーム、部門長同士のコミュニティが良いチームであることが大切だと話す。
- 経営陣の“職場”では数値や外的価値が重視され、自己実現がない状態になりがちである。経営者や経営チームの自己実現こそ重要であり、経営者の心の健全性は組織に影響を与えることも重要なのである。
冒険的対話とは(まとめ)
- 職場デザインと事業デザインの対話を通じて整合性を作り出すことが重要。
- 安斎は、冒険的対話とは「船のエンジンのようなもの」と表現し、冒険型の組織では、精神的なエネルギーが重要であると語る。対話を通して精神的な整合をとっていく冒険的な組織では、精神的な“発電”をしていくことが、船を進める推進力になるのではないかと安斎は締め括った。
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