4/8(土)に開催した「個と組織はいかに発達するか?:“知”と“アイデンティティ”の形成を促すリフレクションの技法」のアーカイブ動画です。CULTIBASEではこれまでも、連載記事「リフレクションの技法」やLabイベントを通して、リフレクションについてお伝えしてきました。
リフレクションとは何か:連載「リフレクションの技法」第1回
本イベントでは個人と組織の発達を促す、より深い階層のリフレクションについて扱います。深いリフレクションを行うにはどのようなポイントがあるのか、「リフレクションの技法」を連載中の瀧知惠美(株式会社MIMIGURI リフレクションリサーチャー)が、MIMIGURI内での実践事例を交えながら、お話ししました。
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「個と組織はいかに発達するか?:“知”と“アイデンティティ”の形成を促すリフレクションの技法」のチャプター
13:42 チェックイン:3年前の自分と比較して変わったなと思うところは?
17:38 動画前半(導入〜リフレクションⅢ)
23:44 今回のテーマ:個と組織の発達に必要なリフレクションとは
35:35 リフレクションⅢ:暗黙知を表出化するチームリフレクション
43:47 プロジェクトプロジェクト終了後に行うリフレクションの実施方法
1:04:32 前半のラップアップ
01:14:10 動画後半(リフレクションⅣについて〜まとめ)
01:17:45 実践事例:アイデンティティ変容の自覚
01:27:01 「深さ」を意識したリフレクション
01:39:00 個と組織の発達のために何から始めるか
01:46:45 後半のラップアップ
「個と組織はいかに発達するか?:“知”と“アイデンティティ”の形成を促すリフレクションの技法」のポイント
- 今回のイベントは、昨年12/17(土)に開催した「チーム・リフレクションの実践知: 不確実性の中でプロジェクトを前へ進める学びの方法論」に続きチームリフレクションについて扱った。
- リフレクションとは「自分が経験した出来事について、その場の状況に埋め込まれた本質を見出し、以後の行動をより良くしていくこと」と定義される。チームリフレクションとは、チームの状態をより良く保ちプロジェクトを前進させ個人・チーム・組織の成長も促進させていく学習の方法論である。
- 前回のイベントでは特に、リフレクションⅠとリフレクションⅡにフォーカスしたのに対し、今回はより深いリフレクションとして「リフレクションⅢ:チームの暗黙知を表出化するチームリフレクション」「リフレクションⅣ:アイデンティティが変容するチームリフレクション」に焦点を当てた。より深いリフレクションをどう実践するか、深いリフレクションが個人・チーム・組織にどのような良さをもたらすか、について迫る。
- イベントの前半は、主に「リフレクションⅢ:チームの暗黙知を表出化するチームリフレクション」にフォーカスを当てた。瀧は、メジローの成人学習における変容的学習論を援用し、ものごとの捉え方を省察することで経験に対して新しい解釈を生み出すと指摘した。
- では、変容はどのように起こるのだろうか?瀧は、混乱するジレンマから変容が始まると語り、矛盾の意識が高まった結果従来のものの見方が不十分とのジレンマをいかに捉えられるかが契機になると述べた。また、その変容においては他者との相互作用や対話が必要だと述べた。
- 続いて、具体的なチームリフレクションの方法について話が移った。瀧は、暗黙知を表出することが属人性の排除と知の活用促進に繋がると語る。暗黙知はそもそも言葉で厳密に説明できないため難易度は高いものの、自分なりの言語化は重要だ。瀧は根本の暗黙知表出化の実践事例を振り返り、人によって暗黙知を紐解くためのアプローチは異なることや、本人にヒアリングするのみではなく他のメンバーがどう見えていたかを知ることが大事だと述べた。
- イベントの後半は「リフレクションⅣ:アイデンティティが変容するチームリフレクション」にテーマが移った。アイデンティティの変容は、これまでの自分のものの見方や価値観に対する違和感を覚えることで意味を捉え直し、新しい自分らしさに気づくことで起こる。アイデンティティの変容が起こると、個々人の専門性が拡張するだけでなくチーム実践の意味も捉え直すことで、チームとしての変容にも繋がると指摘した。
- アイデンティティの変容に気づくような 深いリフレクションを行うにはどうすればよいのだろうか?瀧は、試行錯誤しながらさまざまなことを感じ取り、吟味し、判断していくことで学んでいく「省察的実践」が鍵になると語る。「驚き」「葛藤」を好機と捉えリフレクションを行うとよいと語った。
- 瀧は、深いリフレクションにより暗黙知が表出化され、アイデンティティの変容が自覚されてくると、 組織で知の循環がまわるようになってくるのではないかと語る。今後はリフレクションの方法論を ナレッジマネジメント文脈に応用し、発展させていきたいと意気込んだ。