イノベーションのためのもう一つの道を探る

2/25(土)に開催した「イノベーションのためのもう一つの道を探る」のアーカイブ動画です。本イベントでは、「ユーザー・イノベーション・オンライン」ついて研究されている楊 鯤昊先生をゲストにお招きしました。「ユーザー・イノベーション・オンライン」とは、オンライン上で会社と消費者の共同作業によって行われるイノベーションを指します。楊先生の研究内容を伺いながら、イノベーションのための方法論と、それを実現可能にするチーム・組織のあり方についての学びを深めました。

チャットログはこちら

「イノベーションのためのもう一つの道を探る」のチャプター

7:31 本日のテーマ:イノベーションのためのもう一つの道
8:44 チェックイン:ユーザーと共にサービスを作り上げていると感じる事業やプロダクト
18:21 本動画を見るにあたってオススメしたい心構え
20:25 前半:”ユーザー・イノベーション・オンライン”とはなにか?
48:39 前半のサマリと、CULTIBASEで扱った関連テーマ
56:22 後半:ボッチの強さを活かすために
1:29:35 ディスカッション:ブリッジが起こるような組織文化や組織構造とは?

「イノベーションのためのもう一つの道を探る」のポイント

  • オンライン上で会社と消費者の共同作業によって行われるイノベーションである「ユーザー・イノベーション・オンライン」が再注目されている。ユーザーイノベーションの概念自体は1960年代に提起され、一時期は企業内でも取り入れられていたが、集客や運営のコストが高いという課題があった。しかし2010年以降、様々なSNSの発足に伴いオンラインでのユーザーイノベーションの熱が高まっていると楊は指摘する。
  • 続いて「ユーザー・イノベーション・オンライン」の理解の助けとして、オープンソースに関する論文である『伽藍とバザール(英: The Cathedral and the Bazaar)』が紹介された。伽藍方式(Cathedral)が計画と体制に忠実な開発方式だとすると、バザール方式(Bazaar)は明確な目標や体制がなく興味がある人が集まりアイデアや技術を持ち寄る方式を指す。
  • そもそもイノベーションは目標の設定が難しい。しかしバザール方式の「ユーザー・イノベーション・オンライン」はユーザー個々人が多様なルートを自発的に探索するため開発コストも低く、予測していなかったことを実現できというメリットがあるという。
  • 他方で、ユーザー・イノベーション・オンラインは必ずうまくいくとは限らず、これに関わる人と人との「関係性」が肝になる。楊は、ネットワークの中心から離れた周辺メンバーを「ボッチ」と定義し、「ボッチ」は「異質な情報を持つ傾向」や「同調圧力への耐性」があるため、異質の情報を提供できたり違う視点から盲点を見つけられると語る。
  • ではボッチの本領を発揮するにはどのようなチームづくりが求められるのだろうか?楊は「核:団結したグループ」と「触手:自由なボッチグループ」とそれらを橋渡しする「ブリッジ」を持つ構造を作ることで、ボッチの良さを生かしつつイノベーションに繋げられるのではないかと語った。
  • 楊の話題提供を受け、ブリッジが起こるような組織文化や組織構造とは何かについて議論がなされた。井上は人事に関わった立場として、ボッチという異質な存在であっても包摂されるように支援をしたり越境者同士をつなぐのが大事ではないかと語った。これを受け、東南はコミュニティを複層的に持つことはWeak Tieの観点でも重要で、組織づくりの中にコミュニティづくりという観点を持ち込むことが有用なのではないかと述べた。

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出演者

株式会社MIMIGURI リサーチャー/ファシリテーター

立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科博士前期課程修了。立教大学大学院経営学研究科博士後期課程在籍。人と組織の学習・変容に興味を持ち、組織開発が集団の創造性発揮をもたらすプロセスについて研究を行っている。共著に『M&A後の組織・職場づくり入門:「人と組織」にフォーカスした企業合併をいかに進めるか』がある。

横浜国立大学工学部卒、東京大学大学院総合文化研究科修了。NTTコミュニケーションズ株式会社や株式会社グロービスで新規事業企画・サービス開発・コンテンツ制作等のPMに従事。株式会社メルカリで人事DBや評価報酬システム開発に携わったのち、基幹人事制度の刷新プロジェクトや人事戦略策定を担当。MIMIGURIではプロダクトを通じた人や組織のポテンシャル発揮の実践と探究に取り組む。

山口大学 大学院創成科学研究科 講師

聖心女子大学 現代教養学部 心理学科 専任講師/株式会社MIMIGURI リサーチパートナー

2017年東京大学大学院教育学研究科博士課程単位取得退学.博士(教育学)。日本学術振興会特別研究員(DC2)、玉川大学脳科学研究所嘱託研究員、金沢工業大学情報フロンティア学部心理科学科助教を経て、現在は聖心女子大学現代教養学部心理学科専任講師。創造性や芸術に関わる心的過程の測定、また、芸術活動や創造性教育の効果測定について研究している。

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