4/2(土)に開催された『「創造的逸脱」のデザイン:イノベーションを育む組織の在り方を考える』のアーカイブ動画です。イノベーションの種となる「逸脱(=既存の仕組みから外れた取り組み)」を組織としてどう受け止め、生かしていくのか。 ゲストに中央大学助教・高田直樹さんをお迎えし、「創造的逸脱のデザイン」を探究します。
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チャプター
00:11 イントロ・チェックイン
12:29 ゲスト自己紹介・本日のテーマについて
24:00 創造的逸脱とは何か
30:55 創造的逸脱が成果に繋がる条件
41:03 創造的逸脱は”グレーゾーン”から生まれる
51:05 イノベーターの”戦術”としての創造的逸脱
1:00:31 部署外のリソースを動員するポイント
01:12:15 創造的逸脱のマネジメント
01:27:05 ラップアップ・今後のイベントのご案内
今週のポイント
・新しいアイデアを提案しても、有用性や実現可能性を上司から指摘され、なかなか承認を得られない。また、十分な資源がないため、アイデアを実現して成果を示すこともできない。「創造的逸脱」が起こる背景には、こうしたジレンマが存在する。
・高田さんは創造的逸脱を、マネージャーの指示に背いて、正当ではない(承認されていない)形で新しいアイデアを追究すること」と説明する。では、逸脱者が障害を乗り越え、組織でイノベーションを生み出すには、どのような”戦術”が必要なのか。
・イノベーター視点では、創造的逸脱を成果に繋がえるためには、公式に進める部分と非公式に進める部分を見極め、使い分けることが肝要である。たとえば、あまりにも初期の段階で上司に情報共有してしまうと、計画が頓挫しかねない。しかし最終目標としての組織全体の成功も忘れてはならない。ある時点からは、情報を開示して周りを巻き込み、協力体制を築く必要がある。
・また部署外でアイデアの訴求力を高め、より広く多様な資源や権威者からの保護を募ることも有効である。
・他方で、マネージャーとして部下の創造的逸脱とどう向き合うと良いのだろうか。プラス面から見ると、創造的逸脱のおかげで低コストでイノベーションに繋がる探索活動が行える。マネージャーは、高い成果が見込めたアイデアだけに資源投資すれば良い。マイナス面としては、創造的逸脱によって、組織がそれまで築いてきた調整メカニズム(計画的な資源投資や協働体系)が破壊されてしまう点が挙げられる。また、逸脱者は、創造的逸脱へ傾倒すればするほど孤立してしまい、最終的に離職・転職に繋がるケースもある。
・ある調査では、マネージャーが創造的逸脱を「罰する/横取りする」といった対応をとると、創造的逸脱が挫かれるだけでなく、通常業務の創造性までもが損なわれることが明らかにされている。すなわち、創造的逸脱は、通常業務では果たせない「組織に貢献したい」「イノベーションを起こしたい」という欲求を満たす、ガス抜きとしての作用があるのではないかと考えられている。
・そもそも、創造的逸脱は個人の”泥臭い努力”に基づいている。そうした”努力”に依存しすぎず、組織として創造性を育みたいと思うならば、創造的逸脱を逸脱者からの”抵抗”のメッセージと捉え、組織のあり方を問い直すことが重要だ。彼らのメッセージを受け止め、イノベーションが起こりやすい組織を目指して改善を続けることが、マネージャーのあるべき姿と言えるだろう。