※都合により予告とは異なる日時で公開しています。
※当初予定していた「経営観の歴史:軍事的世界観の起源を探る」は4/30に公開いたします。急な変更となり誠に申し訳ございません。
私たちは日々、他者との関わり合いの中で仕事をしています。それは社長をはじめとした経営陣も、ミドルマネージャーも、現場スタッフとして働く若手も変わりません。また、こうした協働の最小単位として、業務を遂行するための「チーム」があり、その「チーム」が働くための場として「職場」があります。多くの人にとって、仕事の満足度ややりがいは、大々的に掲げられる事業計画などよりも、この最も身近な「職場」の業務体制や関係性、雰囲気などによるところが大きいのが実情でしょう。
また、ビジネスパーソンのキャリアや働き方が多様化する昨今において、一人ひとりのパーソナリティを加味しながら「職場」をデザインしていくことの重要性が非常に増してきています。それぞれがどのようなスキルを伸ばし、どんなキャリアを今後歩んでいきたいと思っているのか──すなわち「自己実現」を前提とした職場のデザインが求められているのです。
しかしながら、こうした個人を起点とした職場づくりは一般的にコストが高く、従来の官僚的な組織では忌避されてしまいがちです。また、職場の方針として多様性の尊重が掲げられていたとしても、実際の業務体制がそれに見合ったものになっておらず、失望感を招いてしまうケースもよく見受けられます。
個人の自己実現ビジョンと、組織的な仕事が結びつくには、どのような観点から「職場」をデザインしていくとよいのでしょうか。本講座では、株式会社MIMIGURIが提唱する組織づくりを推進するための羅針盤「Creative Cultivation Model(通称:CCM)」をもとに、「職場デザイン」について講義とディスカッションを通じて理解を深めていきます。
▼CCMの簡単な解説は下記の動画をご視聴ください
【3分解説】Creative Cultivation Model(CCM)とは何か?
▼詳しく知りたい方はこちらのアーカイブ動画をご視聴ください
ヒトと組織に強い経営人材になるための『新時代の組織づくり』
シリーズ「CCM総合実践講座」では、このCCMを組織づくりに活用するための理論や、実践上のポイントの専門的な解説をお届けします。今回のテーマは「職場デザインの理論と実践」。前後編にわたって配信します。後編は4/23火公開予定。
CCM総合実践講座のバックナンバーはこちら
「職場デザインの理論と実践[前編]|CCM総合実践講座」のチャプター
00:11 職場デザインとは何か
14:53 職場デザインの中心的な課題
31:11 パネルディスカッション(1):職場で自己実現が阻害される要因とは?
「職場デザインの理論と実践[前編]|CCM総合実践講座」のポイント
■職場デザインとは何か?
- 今回のテーマは「職場デザイン」。ここでいう「職場」とは、一人ひとりが業務を遂行する場であり、もっとも密に連携を取り合う「スモールチーム」でもある。このスモールチームには、現場業務に関するチームだけではなく、経営陣による「経営チーム」や、マネージャー陣で構成される「マネジメントチーム」なども含まれる。上司・部下といった縦のラインだけではなく、経営陣同士、マネージャー同士といった横のつながりによるチーム形成も多角化経営においては非常に重要であり、人によってはこうした「縦」と「横」をはじめとした、複数の「職場」に所属することもある。
- CCMでは「職場デザイン」は下部に位置し、その構成要素は「組織アイデンティティ(の探究)」「個々の自己実現(の探究)」「業務構造」「職場風土」の4つだとされている。
- 中でも職場デザインの軸となるのが「自己実現」と「組織アイデンティティ」の接続である。個人の仕事が組織の”らしさ”を体現するものであり、同時に個人の自己実現を組織が業務やコミュニケーションを通じて支援するような関係性であることが望ましく、そのために両側の「業務構造」や「職場風土」を適したものへと設計するというのが、「職場デザイン」の基本的な考え方である。
- また、重要なポイントとして、個人も組織も常に変わり続けるものである。その変化を捉えながら、個々の自己実現と組織アイデンティティの探究が促進されるように、全体感をもって整合を取り続ける姿勢が重要となる。
■職場デザインの中心的な課題
- こうした職場デザインを困難にする要因として安斎は「適応課題」の存在を挙げる。適応課題とは、技術の改善によって解決する問題(技術的課題)と異なり、人間関係の問題をはじめとした、関係性やコミュニケーション上の問題である。
- 安斎はこの適応課題は、「認識の固定化」と「関係性の固定化」の二つの要因によって生じるという。適応課題を解決するためには、当事者たちが自身の「認識」や「関係性」を捉え直し、変化させていくことが必要となる。安斎はそれを行うための手段として、ともに働く相手の前提や価値観を深堀りし、分かち合う「対話」が重要だと述べる。
- また安斎は、適応課題は、関係性の悪い職場にだけではなく、一般的に関係性がよいとされている職場においても起こり得ると安斎は警鐘を鳴らす。関係性が継続する中で、「あの人はアレが得意(好き)で、コレが苦手(嫌い)」といった他者に向けた認識をしだいに疑わなくなってしまい、本人の変化に目を向けなくなってしまう。結果的に当人がすでに飽きている業務が集中的に割り当てられてしまったり、苦手なものを克服する機会が得られなくなってしまったりするケースが散見される。そうならないように、常日頃から対話を通じて前提を問い直し、認識をアップデートする姿勢が重要だと安斎は語る。
- また、実際の業務課題においては、一見して技術的問題なのか適応課題なのかが判別しづらいことも、適応課題の発見と対処を遅らせてしまう一因になりうる。直面している業務課題のボトルネックが何なのか、問題を正しく捉え、技術的問題なら技術の改善を行い、適応課題なら認識や関係性についてしっかり話し合う場を設けるなど、適切なアプローチを取ることが求められる。
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