6/13(火)に開催した「組織変革のレバレッジ:変革の見取り図としての「整合性モデル」」のアーカイブ動画です。リニューアル第2弾となる今回のイベントは、株式会社MIMIGURI 代表取締役Co-CEOの安斎勇樹と、同社リサーチャーの東南裕美が登壇し、書籍『組織変革のレバレッジ:困難が跳躍に変わるメカニズム』(安藤 史江ほか著)の紹介を行いました。
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「組織変革のレバレッジ:変革の見取り図としての「整合性モデル」」のチャプター
01:59 古今東南アノテートとは
03:41 本日の文献
10:41 改めて定義から考える、組織変革とはなにか
19:07 どんな場面で組織変革が必要になるのか
25:59 組織変革理論「コングルエンスモデル」
36:43 コングルエンスモデルを使ってみる
52:41 コングルエンスモデルがもつ課題
57:03 コングルエンスモデルをアップデートする鍵
1:05:12 次回の古今東南アノテートは
「組織変革のレバレッジ:変革の見取り図としての「整合性モデル」」のポイント
- 今回から始まった番組「古今東南アノテート」は、MIMIGURIリサーチャーの東南が古今東西、「組織論に関する、今注目すべき文献」をアノテート(注釈づけ)する番組である。
- 第一回目の今回は、組織変革に関する定義から先行研究、事例まで骨太に扱った書籍『組織変革のレバレッジ:困難が跳躍に変わるメカニズム』(安藤 史江ほか著)を取り上げた。
- 今所属している組織に対して「このままの状態が最良である」と感じている人はそう多くないだろう。組織の拡大に伴う悩み、新規事業に関する悩み、人事制度の悩み等、何かしら組織を変えていきたいとの願望を持つ場面は様々ある中で、「ではそもそも組織が変わるとはどういうことか」「組織変革とはなにか」について考える。
- 書籍においては、組織変革とは「組織の既存資源や要素を最大限に活かしつつ、その結合の仕方を変えることによって新たな価値を生み出すべく、Aという状態からBという状態へ不連続的な変化を遂げること、その上でその変化を定着させること」と定義される。
- 四角い氷がとけて丸い氷に再凍結されても要素自体は変わらないように、優秀な人を採用する等いま組織に存在しないものを得るのではなく結合の仕方を変えることで変革がなしうるというのが一つのポイントである。さらに、一時的な変化ではなくその変化が定着すること、現在の延長線上ではない何かに変わっていくことも重要なポイントである。
- では、一体どんな場面で組織変革が必要になるのだろうか?東南は内部統合プロセスの観点と外的整合性確保の観点の2つがあると指摘する。前者はこれまで社内で有効だったやり方が通用しなくなること、後者は外部環境の変化で組織との間に不整合が起きることを指し、それらは互いに影響し合う。つまり、組織の内外を含めた整合性が何かしら崩れてると感じたときに組織変革の必要性が知覚される。
- こうした背景から注目される組織変革理論として「コングルエンスモデル(整合性モデル)」が紹介された。このモデルから、「組織は環境からインプットを受けそれをある形に変えてアウトプットを算出すうるシステムである」「変換器に当たる組織には4つの構成要素がありこれらの整合性を図ることが組織変革の実現の成否を分ける」ことが導き出される。
- 組織変革の事例を「コングルエンスモデル」を通して捉える方法についても解説されたが、とはいえ組織変革の渦中にいる当事者にとってこれを使いこなすのは難易度が高い。安斎は、「コングルエンスモデル」が無機質なパズルのように捉えられてしまい人間の学習能力を軽視しているのではないかと問いかけ、アップデートする鍵として組織アイデンティティが仮説としてあると語った。
- 次回の「古今東南アノテート」では、ふたたび『組織変革のレバレッジ』を題材に、今回キーワードに上げた「組織アイデンティティ」を組織変革にどう活用するかアノテートする。