12/10(土)に開催した「厄介なマネジメント課題の突破口 「パラドックス思考」とは何か?」のアーカイブ動画です。今回のゲスト舘野泰一(立教大学経営学部准教授)さんと安斎勇樹(CULTIBASE編集長)は「パラドックス」についての研究を進め、矛盾に向き合うために必要な「パラドックス思考」の知見の体系化を進めてきました。「パラドックス思考」をテーマとした新著の出版を来年に控え、新刊の内容を一足早く公開し、厄介な問題の解決について考えました。
安斎勇樹と舘野泰一による最新刊『パラドックス思考:矛盾に満ちた世界で最適な問題解決をはかる』(ダイヤモンド社)が、好評発売中です!関心のある方はぜひ下記より詳細をご確認ください!
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「厄介なマネジメント課題の突破口 「パラドックス思考」とは何か?」のチャプター
00:11 イントロダクション
04:40 本日のテーマについて・登壇者自己紹介
11:22 チャットイン:仕事・組織にはどんな「矛盾」がある?
15:45 新著『パラドックス思考』出版の背景と概要
20:38 舘野・安斎の研究遍歴をふり返る
28:10 『パラドックス思考』に至るまでのプロセス
34:07 パラドキシカルなリーダーシップとは?
40:04 組織の厄介な問題の背後にある「感情パラドックス」とは?
55:36 感情パラドックスを生み出す要因①
1:13:00 感情パラドックスを生み出す要因②
1:34:00 来週のライブイベント
「厄介なマネジメント課題の突破口 「パラドックス思考」とは何か?」のポイント
- 近年のリーダーシップ論は、オーセンティックリーダーシップやシェアドリーダーシップをはじめ、「自分らしさを活かした全員発揮のリーダーシップ」を特徴としたものが多い。しかし、それらはリーダーが「自分らしさ」や「一貫性」に縛られるという問題を孕んでいる。
- それに対し、「自分らしさ」や「一貫性」を脅かすような「矛盾」を受け入れるようなリーダーシップ論として3月のイベントでは「パラドキシカル・リーダーシップ」論を紹介した。
- 安斎と舘野は本を執筆していく過程で、「パラドキシカル・リーダーシップ」ではリーダーが「A or B」ではなく「A and B(両立)」と問うことが重要であるがそもそも組織でぶつかる「A or B」の壁は果たして矛盾と言えるのだろうか、という疑問にぶつかったと語る。「A or B」の背後にあるのは論理的パラドックスではなく感情面の矛盾である「感情パラドックス」ではないかと考え、「感情パラドックス」に着目することで”厄介な問題”を解決する思考法としてパラドックス思考を提唱し新刊のエッセンスとした。本イベントでは主にパラドックス思考の理論に当たる、2章3章を中心に解説した。
- 安斎は、「感情パラドックス」を生み出す要因として、心の中の構造的要因と世界の構造的要因に大別できると指摘する。
- 心の中の構造的要因は、幼少期のコンプレックスや、動機づけに起因しておりそもそも人間の性質として矛盾を抱えやすいと指摘する。さらに世界の構造的要因として、「利他行動を取るため仲間を区別していたが仲間が増えてくると仲間の中に仲間でない人が発生する」という組織的なパラドックスや「競争に負けたくないけど他人を蹴落としたくない」といった社会構造的なパラドックスがあると主張する。
- しかし「感情パラドックス」は悪い側面だけではなく、感情パラドックスに向き合い上手く取り入れ自在に操ることで、自己の成長にも寄与するのだと舘野は語る。例えば安斎が居心地のいい研究室を選ばずにあえて厳しそうな研究室を選ぶ方が自分には合っていると考えた選択も、振り返れば「感情パラドックス」を逆手に取った例だろう。本イベントで触れられなかった章については23年2月にもイベントを予定している。