11/12(土)に開催した「パーパスモデルに学ぶ、サステナブルに価値が生まれ続ける自律的なチームのつくり方」のアーカイブ動画です。多様なステークホルダーが同じ目的(パーパス)と向き合うための共創のあり方について、ゲストである書籍『パーパスモデル 人を巻き込む共創のつくりかた』著者・吉備友理恵さんとともに探究しました。
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「パーパスモデルに学ぶ、サステナブルに価値が生まれ続ける自律的なチームのつくり方」のチャプター
00:11 イントロダクション・チェックイン
15:41 パーパスモデルとはなにか?
20:32 パーパスモデルの図の見方
25:09 共創事例をパーパスモデルで見る(1):LEO Innovation lab
32:49 共創事例をパーパスモデルで見る(2):BONUSTRACK
47:36 パーパスモデルが実現する“フラット”な関係性
53:47 パーパスモデルがなぜ必要なのか?
59:57 パーパスモデルは”想い”を語るきっかけになる
01:04:28 社外の価値創出におけるパーパスの役割とは?
01:09:52 ともにパーパスと向き合うためにはどんな関係性が必要か?
01:17:37 パーパスが変わっていくプロセスとどう向き合うか?
01:26:43 パーパスを問い直す営みを続けていくには?
「パーパスモデルに学ぶ、サステナブルに価値が生まれ続ける自律的なチームのつくり方」のポイント
今回のゲストは、書籍『パーパスモデル: 人を巻き込む共創のつくりかた』の著者・である吉備友理恵さん。吉備さんは、立場の異なる人や組織が新たな価値をつくるために活動する共創プロジェクトにおいて
(1)立場を超えて共感できる共通目的がある
(2)属性の異なる人や組織が共に主体的に取り組む
(3)関わるひとそれぞれに目的と役割がある
の3点が重要であると指摘する。
この3点をわかりやすく可視化したものとして本イベントでは「パーパスモデル」を紹介する。吉備さんは、「パーパスモデル」をいろんな立場の人が関わるプロジェクトの「設計図でありコミュニケーションツール」として捉えられると指摘し、具体的な見方についてまず触れた。
パーパスモデルの図は、真ん中に共通目的、その周りにステークホルダーそれぞれの目的・役割が記載される。また、それぞれ主体性で「共創に関与するステークホルダー(上)」と「主体的な共創パートナー(下)」に分けられる。さらに属性を4色に色分けすることで、多様なステークホルダーの関わり方を鳥瞰的に示している。
パーパスモデルの事例として、本イベントでは主に以下の2つ取り上げられた。
(1)LEO Innovation Lab
ここで紹介されるLEO Innovation Labは、コペンハーゲンにある大手製薬会社のイノベーションラボであり、ユーザーとともにテクノロジーで診療体験のアップデートに取り組んでいる。
パーパスモデルとして、慢性的な皮膚病患者の生活をテクノロジーで改善するという共通目的を掲げるなど、患者さんをパーパスの中心に据えることで全員が自分ごととして共創できるようになった経緯が紹介された。
(2)BONUSTRACK
BONUSTRACKは、下北沢にある商業施設である。
小田急線地下化に伴い地上にBonus的にできた余白(Track)を、更地の段階から運営に関わる関係者や住民を交え、再開発をボトムアップで行った例が紹介された。
こうした事例を踏まえ、複雑化する社会課題に向き合い、共に創造的な解決策を生み出すには立場の異なる人が共に活動するための共通言語が必要だと吉備さんは主張する。パーパスモデルは、共通目的を考えてもらうことで、それぞれが「なぜこのプロジェクトに関わるのか」のストーリーを考えるきっかけになる。さらに、それぞれがどんな思いを持って関わっているのか語るきっかけにもなると指摘した。
パーパスを設ける意義をいかにわかってもらうか。吉備さんは、多様な人によって共創された価値のほうが、結果的に社会に受け入れられる速度が早いと語る。そのプロセスについて小田は、顧客(ユーザー)と企業(提供者)という二元論で考えるのではなく、どちらも同じくパーパスの探究を営み続ける担い手であることが意識される状態をいかにつくるかが大切なのだと語る。またそのための関係性構築のポイントとして、良い意味で弱点を曝け出すなどしながら、「持ちつ持たれつ」な関係を目指していければよいのではないかと言う。
吉備さんとの対談を終えて、小田は組織や社会という生態系の中で、パーパスが絶えず変化していくものであることをまず受け入れることが、「営み」全体の豊かさに繋がっていくのではないかと指摘する。パーパスモデルを固定的な図として捉えるのではなく、常に問い直す対象としてみながら、自己と他者のそれぞれにとって適切な関わり方を考え、模索していく姿勢をもつことが大切だと、塙も述べる。そしてそのための環境やアプローチの仕方について、今後も検討を続けていく。