5/7(土)に開催された『拡散的思考の歴史』のアーカイブ動画です。今、創造性を発揮するための潜在能力として再注目されている「拡散的思考」。ゲストに金沢工業大学助教・石黒千晶さんをお迎えし、拡散的思考の歴史を辿りながら、創造的な人材育成について探究します。
チャプター
00:11 イントロダクション・登壇者自己紹介
07:39 本日のテーマについて・チェックイン
15:24 創造性研究の始まり
22:43 創造性を測る方法:拡散的思考課題
35:38 創造性の定義・類型・成長パターン
49:30 拡散的思考の心理測定:信頼性と妥当性
55:21 拡散的思考と創造性の関係を検証する
1:10:18 拡散的思考が創造的成果に結びつくための要素とプロセス
1:18:17 今後の展望・質疑応答
1:27:42 クロージング
今週のポイント
・1960年代後半から、創造性を発揮するための潜在的能力として研究が行われていた、拡散的思考(Divergent Thinking:以下DT)。「問題状況に応じて、多様な解決策を考える力」として盛んに研究されていた。倫理的理由から一度は研究が下火になったものの、昨今再注目されている。
・創造性の定義は困難であり、今も明確に定まっているわけではないが、「『新奇性』と『有用性』のあるものを生み出す力」という定義が多く用いられており、そのレベルに応じて4つのタイプ(Big-C、Pro-C、Little-c、Mini-c)に分類される。
・今回のテーマであるDTは、Mini-cやLittle-c、Pro-Cなどの日々の創造的な活動(Everyday Creativity)の一分野として研究が進められてきた。
・先行研究では、DTと創造性との関係性について、「DTは、創造性のコア概念ではあるが、創造性の全てを反映しているわけではない」や、「時間が経過するほど、DTと創造的成果の関係性が安定する」とされている。
・DTを創造的な成果に繋げるために何が必要なのか。石黒さんは注目すべき概念として「創造的自己(Creative self)」を挙げる。「創造的自己」とは、自分の創造性や、創造性一般に対する信念のこと。その重要性を示す例として、2019年に発表された研究では、創造性への自己効力感や創造性への価値を感じていなければ、DTが高くても創造的な活動や成果に繋がりにくいことが明らかにされている。
・また、「創造的自己」は介入によって変化するため、人材育成の場面でも、創造性の発揮を促すような声かけや場づくりを心がけることが有効だと考えられる。石黒さんは今後の展望として、日本人の創造的自己や創造的マインドセットの成長に関する検証を、学校や組織教育の場で行っていきたいと語る。
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