マネージャーが持つべき人材育成の見取り図:発達の5段階マップ|CULTIBASE Radio|Management #84

マネージャーが持つべき人材育成の見取り図:発達の5段階マップ|CULTIBASE Radio|Management #84

/約28分
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CULTIBASE Radioは、人やチームの創造性を高める知見を音声でお届けします。 CULTIBASE Radio マネジメントの84回目では、CULTIBASE編集長であり株式会社MIMIGURI 代表取締役Co-CEOの安斎勇樹と、同じく株式会社MIMIGURI 代表取締役Co-CEOのミナベトモミが、「マネージャーが持つべき人材育成の見取り図:発達の5段階マップ」をテーマにディスカッションしました。

  • 前回に引き続き、マネージャーが知っていると役立つ、人の葛藤と発達のメカニズムを考察する。今回は、人が社会に出てからさまざまなレイヤーで協働できるようになるまでの5ステップを、インテグラル理論に基づいて解説する。

ステップ1

  • 葛藤の源泉:誰しも、社会に出た当初は「スキルや好きなことを仕事に活かせられれば」と思う。しかし、この内的動機に対して、他者(上司など)からの外的な要求・制約が葛藤を生む。
  • 支援のポイント:この段階では技術的未熟さが目立つため、周囲にいる人はつい全てのことにフィードバックをしたくなる。しかし、ここでは成功体験が重要だ。むしろ本人が「この場でも自分の好きなことをやっていいんだ」と思えるような受容と承認が成長の鍵になる。

ステップ2

  • 葛藤の源泉:上司の要求・制約を満たせるようになってくると、視野に複数の他者が入るようになり、「チームでいかに協力し、ユーザーを喜ばせられるか」がハードルとなる。プロジェクトの目的と、自らの得意なことの狭間で葛藤が生まれる。
  • 支援のポイント:ふりかえりを通じて、プロジェクトにおいて自らのポジションを位置づけることが大切。周囲にはふりかえりの壁打ち相手として、良いコーチとしての役割が求められる。

ステップ3

  • 葛藤の源泉:複数のプロジェクトを経験すると、ある程度の専門性が確立する。しかし、他の人の専門性と、自らの専門性の狭間で「私の専門性はなんだろう」「私には、チーム・社会においてどういう役割があるのだろう」という葛藤が生まれる。
  • 支援のポイント:この段階では、専門性を越境し、価値が創出される流れを経験し学ぶことが重要となる。この段階を経ると、強いチーム・コミュニティを自ら形成できるようになる。

ステップ4

  • 葛藤の源泉:ステップ3を経験すると、プロジェクトにおいて構想(ロードマップ)を作ることができるようになるため、周囲からの期待・信頼が急激に高まり仕事が倍増することになる。ここで陥りがちなのが「自分がやるしかない」という孤独化であるが、そうならないために「自分の構想」と「部門の目的、メンバーの専門性」の狭間で葛藤することが重要になる。
  • 支援のポイント:本人が、自らの状況を認識し(セルフ・アウェアネス)、異なる価値観の理解の上で、弱さを自己開示する強さを持てることが鍵となる。前回取り上げた日記も、セルフ・アウェアネスを高める上でよい手法である。

ステップ5

  • 葛藤の源泉:自らの価値観と、事業・組織の目的との狭間で葛藤が生まれる。この段階でも、ロールモデルが無く、孤独な状況に陥りがちである。
  • 支援のポイント:同じ視座に立つ人と、戦略レベルではなく、価値観・人間観レベルで対話ができることが重要になる。お互いへの気遣いが生まれることで、よきパートナーとなることができる。
  • 本来、ミドルマネージャーへの抜擢は、自己アイデンティティを確立したステップ4の手前でされるくらいがちょうどいい。しかし、実際にはステップ2をちょうど越えそう、というレベルでアサインされることがほとんどだ。
  • この状態のミドルマネージャーは、自己アイデンティティを模索しつつ(ステップ3)、ステップ1/ステップ2にいるメンバーの受容と承認を行わないといけないという、大変に困難な状況に立たされる。
  • ミドルマネージャーの周囲にも、このようなステップを理解した支援が求められる。
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出演者

株式会社MIMIGURI 代表取締役Co-CEO

早稲田大学卒業後、家電メーカー勤務を経て独立。現在は、MIMIGURIが提唱するCCM(Creative Cultivation Model)の理論開発を基盤に、大企業からメガベンチャーまで様々な多角化企業における、経営・組織変革の専門家として自社経営とコンサルティングにおいて実践を進めている。

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株式会社MIMIGURI 代表取締役Co-CEO

東京大学大学院 情報学環 客員研究員

1985年生まれ。東京都出身。私立武蔵高校、東京大学工学部卒業、東京大学大学院学際情報学府博士課程修了。博士(学際情報学)。株式会社MIMIGURI 代表取締役Co-CEO/東京大学 特任助教授。

企業経営と研究活動を往復しながら、人と組織の可能性を活かした新しい経営・マネジメント論を探究している。主な著書に『問いのデザイン』、『問いかけの作法』、『パラドックス思考』、『リサーチ・ドリブン・イノベーション』、『ワークショップデザイン論』『チームレジリエンス』などがある。

X(Twitter)noteVoicyhttp://yukianzai.com/

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