2024年も残りわずか。CULTIBASEは今年、すべてのコンテンツを無料化するとともに、コンセプトを「人と組織の探究メディア」にリニューアルしました。
「探究(Queest)」は私たちが設立以来ずっと大切にしてきた言葉です。この“Quest”は「冒険」の訳語であると同時に、「問い(Question)」の語源とも深く結びついています。そして、「探究」は運営会社であるMIMIGURIが提唱する「新時代の整合性モデル:Creative Cultivation Model(CCM)」にも通じる概念です。事業を通じて社会的価値を探究する一方で、社員一人ひとりの自己実現をも諦めない――CCMは、まさに「冒険的組織」を育む営みそのものを象徴しています。
そんな「探究」と「冒険」の精神を体現する企画、MIMIGURIアドベントカレンダーが12月1日から始まりました。今年のテーマは「わたしたちの冒険」。MIMIGURIのメンバーがどんなレンズを通して世界を見て、どんなふうに楽しんでいるのか。その独自の視点で描かれる冒険的世界観を、連日の記事としてお届けしています。
MIMIGURI Advent Calendar 2024 #わたしたちの冒険
CULTIBASEでは、この企画の中から、DAY1の代表取締役Co-CEO ミナベトモミの記事と、DAY25の代表取締役Co-CEO 安斎勇樹の記事をピックアップしてご紹介します。
それぞれの視点で綴られる冒険記を、ぜひ味わってみてください。
こんにちは、MIMIGURIのミナべです!
先日、『冒険する組織のつくりかた「軍事的世界観」を抜け出す5つの思考法』の予約が開始されました!パチパチ👏
この本が、多くの世界、企業、個人にとって、自分自身の「冒険観」を大切にしながら楽しい人生を送るきっかけになればいいなと思っています。そして、その冒険を共に支え合える関係が広がったら、とても嬉しいです!
さてさて、先日息子から「お父さんって、いつも仕事しながら笑ってるけど、何がそんなに楽しいの?」と聞かれました。
僕自身、実際には仕事をしててしんどいこともあるのですが、言われてみれば、確かによく笑っている気がします。そこで、改めて「自分の冒険の楽しさの源泉はなんだろう?」と考えてみることにしました。
源泉(1)仲間とワイワイつくる
振り返ると、僕は快活なオタクなので、昔から創作文化やサブカル全般のコミュニティに積極的に参加していました。
オタクのコミュニティの多くには、相手の「好き」を尊重する文化が根付いています。お互いの好き!を語り、つくったものを愛で合っていると、なんだか元気になってきます。そんな場が大好きです。
だから社会人になってからも、「仲間と何かをつくりたい!」と思い、そして大切な縁があった仲間と出会い、起業をしました。僕にとって起業とは、「誰かとつくるを楽しむ場をつくること」です。
文化祭やコミケ(!)――そんな創作活動フェスの延長線上に、会社というあそび場が存在しています。26歳の時に1社目のDONGURIを起業、38歳の時にMIMIGURIを創業したので、気づけば起業して15年以上になりました。
正直仕事は楽しいことばかりではありません。でも、やはり仲間とワイワイと何かをつくり、誰かに喜ばれることはとても嬉しいことだなと思います。
源泉(2)遊び心で、乗りこえる
起業してからは、こんなに楽しいことはないと思いました。とはいえ、1社目の時に苦しい時期もありました。
会社の残高が2万円で倒産しかけたり、人が増えて組織崩壊を経験したり。顧客にはコンサルで組織づくりをサポートしているのに、自分の会社ではマネジメント力不足でうまくいかないことにも悩みました。
僕は日々むずかしい顔をしていたのですが、仲間たちも苦しかったろうに「ミナベさんには、もっと遠慮せず遊んでほしい!」と言われて、ケアされて励まされました。本当に僕は、いつも周りに恵まれています。
だからその恩返しも含めて、何より自分自身が好きを楽しみ、遊び心をいつでも忘れないこと。それが僕の価値観となりました。
ドラッガー先生曰く「木は梢から枯れる」そうです。リーダーがむずかしい顔をして愚痴を呟けば、企業はだんだんと元気がなくなります。
でも逆に、遊び心、そして感謝と信頼を忘れなければ、プレイフルアプローチで乗り越えてよりよい未来が待っている。そう大切な仲間達が教えてくれました。心の師匠です!
源泉(3)推して、応援する
僕はコンサルとしては、冒険を一緒に歩む「2人目」でありたいと思っています。有名なデレク・シヴァーズの「How to start a movement」ではないですが、どんな冒険も2人目がいるから、冒険が始まるのです。
みんなの冒険の熱量を高めるには、旗を立てた1人目を応援したり、挑戦する人を推したり、一見無意味にも見える探索の芽にも好奇心を寄せて、面白がりながら頑張る人を応援することが大切です。
そうしたささやかな「推し」や「応援」が広がることで、楽しい冒険が次々に生まれていくのだと思います。
そして、その冒険をさまざまな仲間たちと、苦難も喜びも共有しながら進める輪に入っていきたい。現実には、どんな映画よりもドラマティックで、感動的なストーリーが詰まっているのです。
これは、自分たちの会社経営においても同じです。多くの探索が行われる中で、合理性を超えてさまざまなことに関心や好奇心を持つ。その姿勢こそが、応援文化――いわば「チアカルチャー」を育てていくのだと思います。
自分が偉大なリーダーとして認められるために頑張る!<<よりも!<<仲間を認めて素敵なムーブをチアして、可能性を引き出してことを為す!そうしたチアリーダーシップの方が楽しいし、僕の性にはあっているようです。
源泉(4)他力を集めてチャレンジする
40代を迎え、これまでは身近な喜びを増やすだけで十分幸せだったのですが、次第に「社会にもっと良い価値を生み出したい!」という思いが強くなってきました。
とはいえ、経営をして気づいたのは、自分ひとりでは何もできないということです。僕は経営者としての才能はあまりないのかもしれませんが、それでも多くの仲間が力を貸してくれたおかげで、15年以上ものらりくらりと企業運営を続けてこられました。
社会にもっと価値を届ける為に、2社目の起業を考えたとき、「もっと仲間を増やしたい!」という思いが募り、思い切って最大推しの天才研究者である安斎さんに声をかけてみました。すると、あっさりとOKをもらえてビックリ。言ってみるものです。(組織のプロたちは、あえて“組織の定石”を無視した——MIMIGURI誕生の足跡)
こうしてDONGURIの仲間たちと、ミミクリデザインの皆さんと一緒に、2社目となる「MIMIGURI」という壮大なプロジェクトを立ち上げることになりました。
創業後は、偏愛が詰まったCCMv1を作り、学際的な人文系研究機関として、そして経営コンサルティングファームとして、苦難がありながらも、最高にワイワイ楽しくやってきました。本当に最高の時間です。
自分ひとりの計画ではたどり着けない場所も、仲間がいるからこそ、予想を超えた遠い場所にまで行けるものだと思います。30代の頃には、まさか自分が研究機関の経営をするなんて思ってもいませんでしたし、コンサルの世界でこれほどドップリ浸かることになるとも想像していませんでした。
すべて、最高の仲間と共に歩んできたからこそだと思います。(MIMIGURI|人と組織の経営コンサルティングファーム)
源泉(5)仕組みでもっと楽にする
コンサルのお仕事では、成長産業や成長企業に関わることが多いのですが、成長しているからこそ起こる「成長痛」というものがあります。規模が拡大することで非効率が生まれたり、役割が重複したり、オペレーションが混乱したり、構造的な負債がリソースを圧迫して混乱を招くことは珍しくありません。
でも、そんな「チャレンジしているからこそ生まれる課題」を解決して、みんなが次のワクワクする冒険に集中できる状態を作るのが、僕は大好きです。
オードリー・タンの書籍で読んだ「シビックハッカーマインド」にとても共感しています。現状に嘆くのではなく、まずは手を動かして作ってみる。そして、より良い未来を描いていく。この姿勢こそが、僕にとって仕組みづくりの矜持です!
彼らのスローガンは「なぜ誰もやらないんだと嘆くより、まずは自分がその〝誰もやらないうちの一人〟であるということを認めよう」です。
(中略)〈g0v〉は、「政府がうまくできないなら、自分たちが手本を見せよう」というスタンスをとっています。「自分たちの手本を見て、政府がもしいいなと思ったら、政府はそのままそれを使えばよい」と思っていますし、これまで何度もそのようなことが起きてきました。
最近はMIMIGURIにおいても、この数年、好きなものをつくり、推して応援して、仲間とワイワイしていたら、いつの間にか成果が出ていきました。会社もどんどん有名になり、巨大な経営変革プロジェクトも増えて、急速に案件規模も大きくなりビックリしています。まさかここまでとは!(今、研究機関でコンサルをやる魅力)
外部からの期待値もあがり、超エンプラ領域の仕事も増え、日々はもう一杯一杯です。また人数的にもダンバー数の壁にさしかかるため、そうなると当然ながらさまざまな成長痛がうまれる為、その大変さに対応するために組織運営やビジネスモデルをきちんと作る必要が出てきました。
そこで、コンサルでの経営変革でも実践している「知と無形資産経営」の考え方を取り入れ、1年以上かけてビジネスモデルを仕組み化しました。(133.ニ律双生[しずかなインターネット])
やっとビジネスとしても成り立つ仕組みとして共通言語化し、事業づくりのプロたちの多様な視点を受け入れながら、前に進めるようになったのは、ようやく最近のことです。
まだまだ来年も組織運営の仕組みづくり元年は続きますが、まず自分自身もシビックハックマインドで解決するボールを持ち、みんなで遊びやすい状態を目指したいと思います。本当にいつも泥臭く一緒に組織づくりに向き合ってくれている仲間たちには感謝しかありません!
源泉(6)知的多動にゆだねる
そんななか、最近では、改めて初心に立ち返り、偏愛を大切にする組織づくりに力を入れ直したいと考えています。僕が冒険を始めた理由は、仲間や顧客と好きを愛で合い、遊び合い、何かをつくり、それが喜びにつながるムーブメントを広げること。その動機をこれからも大切にしたいと思っています。
相棒が「冒険のヒント」で語っていた話がとても印象的でした。要するに、ウサギとカメの物語では、カメが諦めずに勝利したことが美徳のように語られますが、本当にカメが凄いのは、どう考えても勝ち目がないのに、颯爽とレースに参加したことだというのです。
カメは競争に参加しているけれど、競争そのものを目的にはしておらず、その行為自体を楽しんでいる――そんな見方でした。(#214 競争に"参加"はするが、"目的"にはしない:カメのように生きる[Voicy])
僕自身、知的多動症なところがあって、興味や好奇心が湧きすぎてつい右往左往してしまいがちです。でも、それが根本的に快活な創作オタクの自分には合っていて、その状態に身を委ねるのが大好きです。
だからこそ、知的生産業である研究機関やコンサルティングファームは、まさに天職と言えます。
とはいえ、この1~2年は、急激に高まる顧客の皆様の期待に応えるため、事業づくりに全力で対応してきた"精神的に"プレッシャーの掛かる日々でした。でも、来年はもう少し「つくることで遊びたい!」という純粋な衝動をWHYとし、それを原動力に変えていきたいと思っています。
仲間とワクワクする冒険を続けて、結果として社会にも価値を届ける!そんな組織づくりを目指して、思い切り楽しんでいきたいです!
おわりに:心からの感謝を胸に、より良い未来に!
改めてになりますが、1月には『冒険する組織のつくりかた「軍事的世界観」を抜け出す5つの思考法』を出版します!12月10日(火)には書籍内容を先行公開するウエビナーを開催予定です。ぜひ合わせてご予約ください!
冒険する組織のつくりかた「軍事的世界観」を抜け出す5つの思考法|安斎勇樹 無料ウェビナー
この本を読んで感じたのは、これまで研究機関として、コンサルファームとして積み重ねてきた理論や実践の成果が丁寧に編まれた、まさに珠玉の知識の結晶だということ。
そして同時に、それは「みんなで共に冒険してきた航海日誌」だとも思いました。そこには、仲間たちと一緒に好きを愛で合い、信頼し合いながら歩んできた軌跡がぎゅっと詰まっています。
ここまで来ることができたのは、多くの仲間や顧客の皆さま、そして日々応援してくださるユーザーの皆さんのおかげです。本当に心から感謝しています。ありがとうございます!
これからも、わからなさにあふれる世界を一緒に楽しみながら、それぞれの好きを大切に愛で合い、この冒険的な世界を仲間とともに遊び続けていけたら嬉しく思います。
そんな時間の先に、社会の複雑で厄介な問題が少しずつ解消されて、みんなが助け合い、暮らしやすい世界が広がっていく――そんな冒険をしていきたいと願っています!
…ちなみに、冒頭の息子が「お父さんが楽しそうだから、僕もMIMIGURIに入りたい!」と言ってくれました。でも僕は、「それなら、自分で起業して、その楽しさも、めちゃくちゃしんどいことも、自分で体験してみるのが一番だよ」と伝えました、笑
MIMIGURIの冒険仲間たちによるアドベントカレンダー、ぜひ楽しんでください。最後までお読みいただき、ありがとうございました!