7/17に開催されたイベント「チームに主体性と求心力をもたらす『強いブランド』の育み方」のアーカイブ動画を公開しました。ブランド成長のためのサポートをワークショップ/マーケティング戦略/施策立案・実行を通じて取り組んできた福岡陽さん(NTTコミュニケーションズ デザイン部門「KOEL」 UXデザイナー)をゲスト講師にお招きし、「ブランディング」の観点から、メンバーが組織や事業に対する誇りを取り戻すために必要な知見をお伺いしました。
【会員限定】イベント資料はこちら。
※遷移がうまくいかない場合は、真っ白な画面が表示されたのち、ページを更新していただくと、閲覧できるようになります。
※会員以外の方への譲渡・転送等はご遠慮ください。
<今週のポイント>
・ブランドとは「市場が記憶している意味」を指し、つまりブランディングとは「市場に意味を記憶させる活動」のことである。また、ブランドは会社に属するものでありながら、実態は社外にある特殊な知的財産である。
・ブランドへのロイヤルリティ(愛着・忠誠心など)が最大に高まると、顧客や社員がブランドにとって望ましい行動を主体的に行うようになる。つまり、ブランドは顧客と社員の主体性に影響を与える。
・非人道的なブラック研修によって社員は「自主的」に求められることを実行するようになるが、「主体的」に考え、正しいと思うように行動することはできなくなる。
・チームに主体性をもたらす要因は二つ。一つ目が「パーパスを掲げ、尊敬されるブランドを目指す」こと。もうひとつが「ブランドが社会に提供するバリューを統一する」こと。これらによって、正しい方向性に向かって健全に頑張れるチームを形成することができる。
・パーパスとは「ブランドの存在意義」のこと。ただし、必ずしも“善いこと”だけを言おうとする必要はなく、チームメンバーが本心から取り組みたいと思える課題を解決することに焦点が当てられ、またポジティブに共感できるものになっていることが最も重要である。
・ブランドが社会に提供する「バリュー」をどう捉えるのか。まずは「提供価値」を考え、その後「行動指針」について考えていく。
・「大事なバリューは、だいたい変。」と福岡さん。自分たちにとって、他の企業と異なるが大事したいと思える「普通じゃないこと」が提供価値(=バリュー)になりうる。バリューを統一するためには、まずは会社/チームの「変」を見つけてみることが第一歩となる。
・ブランドは基本的にトップダウンからやっていくもの。ただ、共感できるかどうかは現場の一人ひとりしか判断できない。お互いの解釈の表明と対話を行い、ストーリを紡ぎながら、良いパーパスやブランドを作っていくことが重要である。
「ブランドは、人間がつくっていくものなんだというのは、忘れてはいけないポイントだと思うんですよね」。福岡さんは最後に締めの言葉として述べたこの言葉が、今回の企画の最も大事なポイントを端的に言い表しているように感じます。CULTIBASEではこれまでボトムアップ型の組織づくりの知見を主に扱ってきたので、「ブランディング」というテーマを聞いた時に、もしかするとある種のミスマッチな感覚を覚えるかもしれません。しかしながら、CULTIBASEがこれまで大事にしてきた「対話」や「ファシリテーション」などについて考えるにあたって、「どう対話するのか」と同じくらい、「何について対話するのか」も大事だと感じています。
認知科学の用語に「三項関係」という言葉がありますが、私たちは共通の何かに目を向けることで、対等な関係を築きやすくなります。最後の質疑応答の中で、福岡さんは「ブランディングは基本的にトップダウン的に行われるが、それに共感できるかどうかは、結局のところ一人ひとりにしか判断できない」と話していましたが、経営層やマネージャーがブランドのあり方やパーパスを提示してみて、それらをどう良くするかを話してみることで、チームの関係がフラットになり、対話が生まれることもあるのではないかと思います。トップダウンとボトムアップは決して二者択一のものではありません。トップであれボトムであれ、それを担っている「人」に目を向けながら、自分たちの独自性溢れる提供価値を探究していくことが大切なのだと学ばせていただいたイベントでした。