CULTIBASE Radioは、人やチームの創造性を高める知見を音声でお届けします。 CULTIBASE Radio デザインの4回目では、株式会社ミミクリデザインの小田裕和と瀧知惠美が、「身近にある「アブダクション」経験を語る」をテーマにディスカッションしました。
- 前回は定義を確認した、「アブダクション」。今回は、デザイナーの仕事との関係を探りながら、小田&瀧の経験を振り返っていく。
- 瀧が最近、アブダクションを感じたのは、今自身が東海大学で受け持っている授業の設計プロセスである。デザイナー向けのポートフォリオ作成の授業で、ただポートフォリオを作るのではなく、「学生に体験作文を書いてみてもらおう」と思いついたのだ。
- このとき、ポートフォリオ作成と体験作文は必ずしもロジカルに結びついているわけではない。しかし、「頭にあることをかくことで“みえてくる”瞬間が生まれる」という点では、体験作文はデザインのプロセスにおけるサムネイルスケッチと同じ役割を果たしていると言える。
- 小田がアブダクションと聞いて思い出すのは、自身がTokyo Midtown Award 2016で優秀賞を受賞した「数字になるチョコレート」というアイデアの生成過程である。瀧の場合と同様、テーマであった「Anniversary」と「数字になるチョコレート」というアイデアは必ずしもロジカルに結びついていない。
- 「ある時ふっと思いつく」を可能な限りはやく、そして多く実現するために、デザイナーはスケッチをしたりマインドマップを描いたりする。この、「アブダクションが起きやすい状況を作る」という手法自体に、デザイナーの職能があると言えるのではないだろうか?