外部環境の変化が激しく、先行きの見えない時代において、いわゆる「選択と集中」を戦略の中心に置いたトップダウン型(ファクトリー型)の組織形態から、ミドルマネージャーを起点とした個の多様性を活かすボトムアップ型(ワークショップ型)の組織へのシフトが求められています。
この過渡期において、多くの企業が前時代的なトップダウンの仕事の進め方から抜け出すことができず、本来引き出すべきチームメンバーのポテンシャルを抑圧してしまう問題が起こりがちです。
新刊『問いかけの作法』では、この組織の転換期を乗り越え、チームのポテンシャルを発揮させるための指針として、チームにおいて「こだわり」を見つけて、育てることと、「とらわれ」を疑い、問い直すことの両方が、互いに循環しながら実現されている状態を目指すことを提案しています。
チームのポテンシャルが発揮されるための循環
モード
チームのポテンシャルを発揮するための問いかけには「フカボリモード」と「ユサブリモード」と私が呼んでいる2つのモードがあります。
この2つのモードの違いを理解し、場の状況に合わせて「フカボリ(深掘り)」と「ユサブリ(揺さぶり)」のどちらのモードが必要かを見定めるだけでも、質問の精度があがっていくはずです。
フカボリモードとユサブリモード
フカボリモードとは何か
フカボリ(深掘り)モードとは、チームの暗黙の前提、共通の足場としている価値観、一人ひとりの考えていることが曖昧で、チームの根底にある「こだわり」がはっきりせずぼやけているときに、解像度を高めるためのモードです。場の基本的な前提を確認したり、一人ひとりの中に眠っている個性や価値観を引き出したりすることによって、深く探求していくモードです。
フカボリモードを体現する汎用性の高い質問の型として、「素人質問」「ルーツ発掘」「真善美」という3つのパワフルな質問のパターンがあります。
フカボリモードの質問の型
(1)素人質問:みんなの“アタリマエ”を確認する
(2)ルーツ発掘:相手のこだわりの源泉を聞き込む
(3)真善美:根底にある哲学的な価値観を探る
ユサブリモードとは何か
ユサブリ(揺さぶり)モードとは、一人ひとりの固定観念、メンバー同士の価値観のズレなど、チームにおいて凝り固まっている「とらわれ」がはっきりしてきたときに、そこに揺さぶりをかけて、新しい可能性を探っていくためのモードです。染み付いた言葉遣いを変えたり、発想の視点を転換したり、固定観念を直接的に破壊することによって、とらわれを打破していくモードです。
ユサブリモードを体現する汎用性の高い質問の型として、「パラフレイズ」「仮定法」「バイアス破壊」という3つのパワフルな質問のパターンがあります。
ユサブリモードの質問の型
(1)パラフレイズ:別の言葉や表現に言い換えを促す
(2)仮定法:仮想的な設定によって視点を変える
(3)バイアス破壊:特定の固定観念に疑いをかける
2つのモードと6つの質問の型
これら2つのモードと6つのパターンを頭に入れておき、場の状況に合わせて使い分けると、ミーティングのファシリテーションのコツが掴みやすくなります。新刊『問いかけの作法』ではこれらのパターンの具体的なテクニックや実例、とっさの質問リストなども掲載しておりますので、ぜひご覧ください。
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