組織やチームが創造的になるために何ができるか。
昨年1年間を通じて、CULTIBASEは組織の創造性を耕すための理論と実践知を届ける学習プラットフォームとして、290種類以上のコンテンツを配信してきました。
今回はその中でも特に人気の高かった記事を、象徴的な5つのキーワードとともに紹介します。これらのキーワードは、どれも2022年の創造的な組織づくりにおいても鍵となる概念です。これから学び始める方にとっても土台となる知見が詰まった内容となっていますので、ぜひ興味のあるキーワードからご覧ください。
1. リフレクション
リフレクションとは何か:連載「リフレクションの技法」第1回
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リフレクションとは何か:連載「リフレクションの技法」第1回
業内、教育現場、その他多くの分野で、自分たちの活動をふり返ることで学びを得ようとする所謂「リフレクション」という活動が実践されています。しかし、せっかく時間をかけて活動をふり返っても次に活かされないなど、うまくいかない「リフレクション」を経験したことがある方も少なくないのではないでしょうか。
本連載ではリフレクションの本質とは何なのか、背景にある理論を整理し、意味のあるリフレクションを実践するためのポイントを紹介していきます。特に、チームにおけるリフレクションの活用を軸に、チームの中の個人、そしてチームが属する組織へもたらす影響について触れていきます。
2. レジリエンス
今、マネージャーが身に着けるべき「レジリエンス」とは何か:連載「レジリエンス入門」第1回
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今、マネージャーが身に着けるべき「レジリエンス」とは何か:連載「レジリエンス入門」第1回
技術の急速な革新に見られるような変動性は、苦労して得たスキルをすぐに陳腐化させてしまいます(Lim et al 2019)。また、新型コロナウイルスのような、予期せぬ疫病のパンデミックにより、自分の職やこの先の会社の行き先に不安を感じている人も少なくないでしょう。
そのような時には、個々人が高い「レジリエンス」を持つことが重要であると言われます。「レジリエンス」が高ければ、不確かな状況でも、そこに現れる困難に上手に対処し、適応的でいられ、且つ高いパフォーマンスを保てると考えられているのです。
本連載では、「働く人に関わるレジリエンス」をテーマに、大学生のレジリエンスの獲得につながる経験や若手社員のレジリエンスの先行要因について研究を行ってきた筆者がレジリエンスの定義と昨今の研究動向について紹介します。
3. シェアド・リーダーシップ
変化する時代に求められる「新しいリーダーシップ」の考え方とは?:連載「リーダーシップ教育の最前線」第1回
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変化する時代に求められる「新しいリーダーシップ」の考え方とは?:連載「リーダーシップ教育の最前線」第1回
新しいリーダーシップの考え方をもとに説明すると、以下のようにまとめることができます。
1.リーダーシップは全員が発揮する(できる)ものである
2.リーダーシップは陰から支える行動も当てはまる
3.リーダーシップは学習可能である
(中略)
チームの中で、リーダーの役割の人だけでなく、メンバー全員でリーダーシップを発揮している状態のことを、アカデミックなキーワードでは「シェアド・リーダーシップ」と呼びます。1人がリーダーシップを発揮しているのではなく、チームで分散・共有しているようなイメージです。私はこれをわかりやすく「全員発揮のリーダーシップ」と呼んでいます。
全員発揮のリーダーシップが求められる背景には、「決まったことを素早く大量におこなう時代」から、「まだ正解がわからないことを探索的かつ実験的におこなう時代」になってきたからということができます。
4. 組織デザイン
50人で評価額2,100億円を越えたNotionに聞く、少数精鋭のプロダクト組織のつくりかた:連載「クリエイティブ組織の要諦」第3回
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50人で評価額2,100億円を越えたNotionに聞く、少数精鋭のプロダクト組織のつくりかた:連載「クリエイティブ組織の要諦」第3回
ミナベ 近年スタートアップの組織コンサルティングをしていると、「Notionさんのように、少人数でレバレッジを効かせられる組織をつくりたい」と言われることは少なくありません。今日は是非とも、その組織デザインの秘訣をお聞きしたいと思っています。50名ほどの組織で膨大な数のユーザーを支えられる組織的な強みは、どのような点にあるのでしょうか?
Lu 私はいくつかのスタートアップを渡り歩いて来ましたが、Notionの組織はどの企業よりも柔軟なんです。(中略)『Notion』はそもそも単独で成立している機能がほとんどなく、すべてが相互に関わり合っているプロダクトです。だからこそ、柔軟に協業できる組織体制が必要で、自然と構築できたのでしょう。
また、全員が「ユーザーにとって有益なツールを提供する」という共通の目的をしっかり意識できていることも大きいと思っています。(中略)あくまで私たちにとっての成功とは「ユーザーにとって有益なツールを提供する」こと。この目標達成に近付くためであれば、私のようなデザイナーがエンジニアリングをサポートすることもしばしば。エンジニアがプロダクトマネージャーのような役割を担うこともあります。
5. 問い/問いかけ
チームは「問いかけ」から作られる:孤軍奮闘の悪循環から抜け出すために
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チームは「問いかけ」から作られる:孤軍奮闘の悪循環から抜け出すために
アイドルのプロデューサー、スポーツチームの監督、バラエティ番組の司会、ビジネスコーチや編集者など、「自分が答えを出す」のではなく、うまく他者に問いかけることによって、「他人の才能を引き出す」ことができる人が、ますます表舞台で注目されるようになってきています。
あなたひとりの実績を磨くよりも、「問いかけ」によるチームの力を高めていったほうが、結果として「あの人と一緒に働くと、気持ちよく仕事ができる」「あの人のチームだと、良い成果が出せる」「あの人のもとでは、次々に良い人材が育っている」といった「あなた自身の評価」へとつながり、活躍の場も広がっていくのです。
当たり前を異化する:連載「問いのデザインの思考法」第1回
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当たり前を異化する:連載「問いのデザインの思考法」第1回
問いのデザインの本質とは、問題や社会に対するまなざしの「角度」や「焦点距離」を変えてみることで、現実の見え方を変えたり、発想の枠を取り外したりすることです。
物事を解釈する枠組みを転換することから、これを「リフレーミング」といいますが、枠を変える前には、まず自分がどのような枠に囚われているのか、自動化してしまっている認識をメタ認知する必要があります。
今回ご紹介した人気記事を概観すると、「リーダーシップ」や「リフレクション」、「レジリエンス」など、個人のための能力や学習手法として捉えられていた概念を、「チーム」のために応用しようとする研究に高い関心が寄せられていることがわかります。
不確実性の向上が予想される中では、組織・チームの能力の多様さが大切だと言われています。そのような時代を迎えるにあたって、従来の「一対多」の研修ではカバーしきれない、一人ひとりの特性の違いに対応した人材育成/教育のあり方が求められているように感じます。目の前の部下がどんな特性やポテンシャルを持っているのかを、「一対一」のコミュニケーションの中で把握し、伸ばしていくこと。今回キーワードに掲げた「問い/問いかけ」も、チーム内で豊かな対話や関係性を築くためのアプローチの一つと言えるでしょう。
また、これらのアプローチをさらに効果的に機能させるためには、土台となる組織の構造・制度に対する目線も欠かせません。今後もCULTIBASEでは、こうした「組織デザイン」のナレッジも精力的に展開しながら、チームと組織(経営)の両方の目線からより良い組織づくりのためになる知見を発信していきます。
元旦に配信された特別動画「人と組織の創造性の土壌を耕す 2022年”ネクストアクション”を探る」では、記事だけでなく、「Podcast」「ライブイベント」なども含めて昨年の人気コンテンツをふり返り、これからのCULTIBASEの指針となる情報を紹介しています。有料会員以外の方もご覧いただけますので、関心のある方はぜひご視聴ください!
▼人と組織の創造性の土壌を耕す 2022年”ネクストアクション”を探る
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