ミドルマネジメントの”やりがい”を探る:事業部を超えた連携を成功させる秘訣とは?

現代企業ではマネジメント業務が複雑化し、「若手が管理職(マネージャー)になりたがらない…」と課題を持つ企業も多いのではないでしょうか。今回の観変え中は、前回から引き続き「ミドルマネジメント」をテーマとし、ミドルマネージャー自身の動機づけやミドル同士の連携について考えました。

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なぜミドルマネジメントは難しいのか? 経営と現場の「あわい」で躍動するチームづくりの勘所

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「ミドルマネジメントの”やりがい”を探る:事業部を超えた連携を成功させる秘訣とは?」のチャプター

01:26 「なぜミドルマネジメントは難しいのか?」(前回)を振り返る
07:15 ミドルマネージャー自身の「動機づけ」
20:37 ミドルマネージャー同士の連携
37:52 ミドルマネージャー自身の学習体験
39:08 ダニエル・キムの成功循環モデル
45:43 今回の振り返り

「ミドルマネジメントの”やりがい”を探る:事業部を超えた連携を成功させる秘訣とは?」のポイント

前回(ミドルマネジメントはなぜ難しいのか?)の振り返り

  • 前回は、現代ミドルマネジメントの課題や職場風土づくり、業務管理などをテーマに扱った。
  • ミドルマネージャーはそれぞれが各チームの”経営者”としてアイデンティティを持つ。組織全体の文化を、チームらしさに落とし込んで職場風土づくりをしていくことが重要。
  • 業務管理の方法論については古くから変わっていないことが課題で、自由な意思決定を促進するための新しい手法への転換が求められている。

ミドルマネージャー自身の“動機づけ”

  • 今回扱うテーマの1つ目は、マネジメントのやりがいや、モチベーションをいかに見出すか。ミドルマネージャーの業務はモチベーションを高く保つことが難しいと安斎が話題を出した。
  • ミナベはマネージャーのやりがい(動機づけ)について、2つのタイプを挙げた。1つ目は「自分の成したいこと」が起点となってやりがいを得るタイプ。マネジメントは一人では解決できない課題に取り組む手段であり、自らの成したいこととマネジメントが繋がって腹落ちした瞬間に、マネジメントが楽しくなっていくタイプだという。
  • 2つ目のタイプは、自己変容に興味があるタイプ。チームに集っている人たちとのコミュニケーションする中で、深い関係性を築いたり、自分の変化を自覚することで、やりがいを見出していく人もいると話した。
  • 複数のマネジメント課題が一つの物語のようにうまく“ハマった”時の喜びからやりがいを得るタイプもいるのではないかと、安斎は付け加えた。

ミドルマネージャー同士の連携とコミュニケーション

  • 続いて、ミドルマネージャー同士の連携やコミュニケーションについてのテーマに移った。ミドルマネージャー同士は、連携と対話が重要であり、組織文化や業務構造の違いを理解し合う必要がある。
  • ミナベは、ミドルマネージャーは、熟達すればするほど「横の繋がり」を重視するようになると述べる。戦略や方針があるだけでなく、各ミドルマネージャーが連携して、どのようにしたら実現するのかを考えていかないと部門運営は成り立たないという。
  • 安斎は、各部門内やチーム内だけでなく、ミドルマネージャー同士も“チーム”になっているべきで、多層的な構造になっているべきだと話す。一方で、ミドルマネージャー同士の連携は形骸化しやすく、「連携ミーティング」といったような取り組みは最初は重宝されるが、徐々に優先順位が下がっていることがあるあるだと述べる。
  • 連携においては、インフォーマルな繋がりからフォーマルな連携への転換がポイントで、今一番怖いと思っている人(心理的に、ついつい避けてしまっている人)との連携こそ重要だとミナベは語った。
  • ミドルマネージャー同士が集まる合宿などの「場」を作ることも重要で、悩みをひらきあったり、対話を通じてリーダーシップやマネジメントスキルを問い直すことが大切である。

ミドルマネージャー自身の学習体験

  • ミドル同士は、精神的な絆を作りつつ、ナレッジ共有や問題解決に取り組むことがリーダーシップ発揮の鍵であるとミナベは述べた。
  • マネージャー個人の悩みだと思っていたものが、実は他のマネージャーも同じことで悩んでいることがあるのではないかと安斎は話す。
  • またミナベは、「経験が物事を癒す」と考えており、上司から無理なフィードバックをもらうより「良い経験をすること」がミドルマネージャーのモチベーション維持につながると語った。その考えの理論的背景として、ダニエル・キムの「成功循環モデル」を紹介した。
  • 成功循環モデルでは、成果を出すためには良好な関係性が重要であり、循環的な良いサイクルを作ることが成功への鍵であるという考え方が示されている。
  • 最後に今回の話題を振り返った後、ミドルマネージャーは問題解決能力やリーダーシップだけでなく「ストレス対処能力」も必要とされていることが強調され、今後扱いたいテーマとして挙げられた。

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株式会社MIMIGURI 代表取締役Co-CEO

東京大学大学院 情報学環 客員研究員

1985年生まれ。東京都出身。私立武蔵高校、東京大学工学部卒業、東京大学大学院学際情報学府博士課程修了。博士(学際情報学)。株式会社MIMIGURI 代表取締役Co-CEO/東京大学 特任助教授。

企業経営と研究活動を往復しながら、人と組織の可能性を活かした新しい経営・マネジメント論を探究している。主な著書に『問いのデザイン』、『問いかけの作法』、『パラドックス思考』、『リサーチ・ドリブン・イノベーション』、『ワークショップデザイン論』『チームレジリエンス』などがある。

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株式会社MIMIGURI 代表取締役Co-CEO

早稲田大学卒業後、家電メーカー勤務を経て独立。現在は、MIMIGURIが提唱するCCM(Creative Cultivation Model)の理論開発を基盤に、大企業からメガベンチャーまで様々な多角化企業における、経営・組織変革の専門家として自社経営とコンサルティングにおいて実践を進めている。

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