3/18(土)に開催した「多様な人材が育つ組織デザインの勘所:メルカリに学ぶ、事業領域拡大時の分断の乗り越え方」のアーカイブ動画です。本イベントでは、ゲストに株式会社メルカリ執行役員CHRO木下達夫さんをお迎えし、組織デザインと人材育成をテーマにお話を伺いました。メルカリの組織体制やHR組織はどのように変化していったのか、多様な人材を受け入れる上での仕組みやカルチャーづくりについての学びを深めました。
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「多様な人材が育つ組織デザインの勘所:メルカリに学ぶ、事業領域拡大時の分断の乗り越え方」のチャプター
11:45 チェックイン:多様な人材が組織にいることの良さとはなんだと思いますか?
18:11 話題提供
28:11 「ワンメルカリ」として連携する理由
34:57 HR体制のリデザイン
46:21 HR体制を決めるにあたってどのように合意形成を進めたか
52:13 グローバル化やそれに伴うD&Iにおける組織づくりのポイントは?
57:40 “All for One”を体現するために差異やバイアスとどう向き合うか
53:00 従業員の体験設計で直面した課題や得られた気づき
1:02:43 転職時のアンラーニングを促す取り組みや文化
1:06:00 コミュニケーションパスや制度の設計におけるポイント
1:36:16 ラップアップ
「多様な人材が育つ組織デザインの勘所:メルカリに学ぶ、事業領域拡大時の分断の乗り越え方」のポイント
- メルカリは、フリマアプリ「メルカリ」をはじめ、スマホ決済「メルペイ」、「メルカリShops」など多角化展開する中で、多様な人材と向き合ってきた。組織デザインの観点で大きな転換点となったのは、2018年6月の上場後のホールディングス体制への移行だと木下は語る。メルカリの上場とほぼ同タイミングでメルペイが設立され、メルカリ本体も1000人を超えた2018年12月にホールディングス体制に移行した。その際コーポレート機能はワンフェースで持ちつつ事業ごとの経営体制はどんどん権限移譲させつつガバナンスは強化し属人的だった意思決定のフローを整備したと振り返る。
- ガバナンスの強化と現場への権限譲渡は相容れないことも多いのでは?というミナベの疑問に対し、「All for One」のバリューがHDと事業会社との連携や調整を促したと語り、メルペイの開発スケジュールが遅れた際もHDからエンジニアを集めることに成功したのもみんなで協力するカルチャーが強くあるためだと語った。
- 続いて、HD組織に移行した後のHR組織について話題が移った。HDの方には、専門性を持ったチームとして採用、タレントマネジメント、評価報酬、D&I等を取り仕切るチームがあり、各事業にはHRBPと現場の採用担当であるTA(Talent Acquisition)を配置している。この体制にするまで、何を事業会社に残して何をいわゆる全体最適としてコーポレートに持っていくかを考えながら調整をしたと木下は語る。
- 組織デザインにおいては、初めに構造設計しあるべき形を仮置きするものの、その後の実践を通して最適な形にすべく調整や連携を行うとミナベは語る。メルカリにおいて、HR体制の変更に伴いどのような調整があったのだろうか?
- 木下は、HRの機能を増やすにあたって内部からの抜擢と外部からの獲得の2パターンあるが、内部からの登用に関しては未経験者も多く、カルチャーやメルカリらしさは保てるメリットはありつつ知見がない部分もあったと語る。現在は外部の知見も上手く混ぜたり、事業部人事とホールディングスコーポレート部門を積極的に行き来してもらうようにすることで、各人の経験値を高める工夫を施したと語った。
- 続いてD&Iについてのディスカッションに移った。メルカリはグローバル展開をする上で、各社事業部人事の中もD&I推進役割を持った人を配置し、グループ全体のD&Aを考える人たちと一緒にある種コミュニティのような感じで進めたことがよかったのではないかと木下は振り返る。
- とはいえ部署によってはD&Iの必要性を懐疑視するところもあったと振り返る。その際は、ダイバーシティは言語の多様性だけではないこと、なぜメルカリがD&Iに向き合いそれをどう競争優位に繋げるかの対話セッションを部門単位でもつことでメンバーの意識を上げたと語った。さらにマネージャーのD&Iにおいては、女性比率を何%と決める等形式ばったことはせず、マイノリティタレントにも目を配らせるためのチェックリストを設けることでスポットライトがちゃんと当たるように誘導できるようになったと指摘した。ミナベはこうした取り組みに対し、人の変容と学習にアプローチしながら調整コストを結果的に削減するっていうアプローチは極めて示唆深いと述べた。
- また、外部から人を登用する際や経営人材育成について、メルカリは情報格差でマネジメントをするのではなく、様々な情報がオープンで量も多いがゆえに情報を取捨選択しメンバーをナビゲートしていく役割をマネージャーに任せていると語った。転職者等のアンラーンをサポートするという観点では、フィードバックカルチャーが功を奏していると語り、評価サイクルごとにぴあレビューを行うことで多面的なフィードバックを行い気づきを促進することが重要だと語った。
- 今回のディスカッションを受け、根本と渡邉はメルカリでのマネジメントはファシリテーションのエッセンスが多分に含まれていると指摘し、マネージャーが経営の方針を自分達の言葉で語り直し全員と分かち合うことは難易度は高いがオーナーシップも育まれていくのだろうと語った。