全体的個人よ、ネットワークよ、システムに負けずに立ち上がれ――文化人類学者・小田亮さん、スマイルズ代表・遠山正道さん対談(前編)

全体的個人よ、ネットワークよ、システムに負けずに立ち上がれ――文化人類学者・小田亮さん、スマイルズ代表・遠山正道さん対談(前編)

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2021.01.21/ 13min read

「企業は単なる収益を生み出す道具ではなく、知の創造体である」。これは、“ナレッジマネジメントの生みの親”とも称される経営学者・野中郁次郎さんの言葉です。1990年代、彼はイノベーティブで生産性の高い組織の特徴を、工業的システム下で全体が統制された構造ではなく、知識創造のサイクルを絶え間なく回し続ける小さなチームの集合だと捉え、昨今のアジャイル開発の基盤となった「スクラム」という概念を打ち立てました。

大きなシステムから、小さなネットワークへ。経済合理性ばかりではなく、知識創造や個人の当事者性にこそ重きを置く……近年の組織論の文脈で盛り上がりを見せるこうした視座は、かつてレヴィ=ストロースが示した「真正性の基準」に象徴されるような、人類学者たちが持つ共同体への眼差しと、多くの共通項を見出せます。

丁寧な参与観察、フィールドワークなどを通して、土着的なコミュニティの本質をじっくりと透かし見て抽出する人類学者たち。もし彼らが、“会社組織”という名の共同体に足を踏み入れたら、どんな発見を持ち帰るのでしょうか――。

2020年秋に上梓された『スマイルズという会社を人類学する-「全体的な個人」がつなぐ組織のあり方』は、“未来型”と称されることの多いユニークな会社・スマイルズの組織構造を、人類学的な手法で解体する一冊です。人類学と組織論・経営論がブリッジするこの本は、未来のよりよい会社のあり方を考える上で、とても示唆に富んだ内容となっています。

今回CULTIBASEでは、本書の発刊に合わせて、著者の一人である文化人類学者の小田亮さんと、スマイルズ代表取締役社長の遠山正道さんの対談を企画しました。スマイルズという組織を人類学的に考察する小田さんと、その鋭い視点に触発されて言葉を紡ぐ遠山さん。二人の言葉が折り重なった先に、果たしてどんな「組織の未来像」が見えてくるのでしょうか。

前編となる今回は、「なぜスマイルズの組織や社員は“面白い”と言われるのか?」という問いの探求からスタートし、共同体におけるシステムとネットワークの役割や、自律的な組織を目指す上でカギとなる概念「全体的個人」について、考察を深めていきます。

目次
「スマイルズの共感は、うさんくさくない」――組織としてのユニークさの秘訣
人を代替可能な部品にしてしまう「システム」、そこに抗うための「ネットワーク」の重要性
ネットワーク組成のカギを握る「全体的個人」の存在

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