4/10開催のライブイベント「『わからない』を楽しむための技法:VUCA時代の探究のあり方を探る」のアーカイブ動画です。本イベントでは、ゲストにドミニク・チェンさん(早稲田大学文化構想学部准教授)をお招きし、「わからなさ」との向き合い方をテーマに、「探究」における姿勢や態度について理解を深めるディスカッションを行いました。
- <今週のポイント>
ゲストのドミニク・チェンさんは、数々のコミュニケーション研究を通じて「わかりあえなさ」に関する探究を続けてきた。 - すぐに結論を出そうとするのではなく、問いが頭の中で「発酵」するまで待つことが重要。
- 能動的になるのでも、受動的になるのでもなく、時間が立つにつれて「わかる」状態が自然と発生することを大事にする。
- お互いに関心の持つことのできる「わからなさ」の共有から、新たな表現や対話が生まれる。。
現代社会においては、不確実性が増大しているにも関わらず、「わかりやすい結論」や「合理的な解決」が求められ続けています。しかしながら、「わからなさ」、あるいは「わからなかったものが自然とわかるようになっていく過程」も重要ではないか。本イベントではそのような問題提起を出発点としています。
例えば、「昔親や上司から言われた言葉に対して、最初はわからなかったけれど、時間が経つにつれて段々意味がわかってきた」という経験は、誰しもにとって覚えがあるのではないでしょうか。そのように時間をかけて気づきが醸成される体験を、ドミニクさんは「発酵」というキーワードで表現し、忙しない現代にこそ大切なものとして位置づけています。
イベントの最中においても、ドミニクさんとパーソナリティを務めた小田裕和の二人が、事前に用意した持論を語るのではなく、ディスカッションを通じてその場で自然発生的に生まれる気づきやアイデアを大事にしようとしていることが印象的でした。まだ答えのないものと向き合い、自分が何を明らかにしたいのか、切り口をデザインしようとする。そのようなお二人の振る舞いが、「わからなさ」から学ぶ探究の姿勢そのものを体現しているように感じました。
まだコンテンツを視聴されていない方は、話す内容だけでなく、スタンスや言葉の選び方にも目を向けながら、探究の姿勢や態度についても考えてみてもらえたらと思います。
■チャプター
00:11 スピーカー自己紹介
12:11 『リサーチ・ドリブン・イノベーション』から考える、わからなさとの向き合い方
19:24 最近見つけた「わからない」はなんですか?(チェックイン)
35:33 ドミニクさんの「わからない」の変遷
47:50 「わからない」に向き合う研究的姿勢