CULTIBASE Radioは、人やチームの創造性を高める知見を音声でお届けします。 CULTIBASE Radio マネジメントの54回目では、CULTIBASE編集長であり株式会社MIMIGURI 代表取締役Co-CEOの安斎勇樹と、同じく株式会社MIMIGURI 代表取締役Co-CEOのミナベトモミが、「組織学習になぜアジャイルが必要なのか?」をテーマにディスカッションしました。
- 先日、「アジャイル型組織ってなんですか」という素朴なテーマを扱った回では、たくさんの反響をいただいた。今回は、さらに深ぼって「アジャイル型開発」と「組織学習」の関係性について考えていきたい。
- 組織をアジャイルにしていくことと、組織学習を回していくことは「ほぼイコールだ」と言うミナベ。実際、日本において「アジャイル型開発」の考え方を推進してきたのは「知識創造企業」などを提唱する野中郁次郎先生なのだ。
- ルーツが同じことがわかった「アジャイル」と「組織学習」。それでは、それらは実践の現場でどのように結びつくのだろうか?
- ここで登場するのが、「新・SECIモデル」だ。これは、個人/チーム/組織/外部環境という4つの要素が「知識創造」というプロセスにどう関わっているか、ということを4段階で示したモデルである。
▲新・SECIモデルの図
(詳しくは本エピソードのYouTube版をご覧ください)
- 改めてアジャイルのプロセスを紹介する。
①チームにおいて課題定義/ボトルネックの優先順位付けを行う。
②実践をする(ここで、うまくいった/うまくいかなかった、という暗黙知を育む)。
③リフレクションをする(これにより、暗黙知が形式知化され、チームの新たな意思決定の前提となる)。
①’新たな前提をもとに、優先順位付けや課題定義を刷新する。
以上のサイクルが3〜4週間という短いスパンで起きるのがアジャイルである。 - ここで重要なことは3点ある。1つ目は、実践をして暗黙知(バックログ)が蓄積されていること、2つ目は、リフレクションによりダブルループ学習(WHYの問い直し)が起きていること、3つ目は、チームの前提の変化に基づいて課題定義や優先順位付けも変化していくこと、である。
- つまり、本質的なアジャイルができていれば、新・SECIモデルがぐるぐる回っていき、組織学習が進むことになるのだ。また、アジャイルがうまくいっていると、個人の試行錯誤からチーム全体が変化している感覚が生まれる。この感覚を頼りに、組織学習を導入していくことが重要である。