組織論から「リサーチ」の意味を再考する:連載「リサーチ・ドリブン・イノベーション」第2回

安斎 勇樹

2020.09.25/ 6min read

連載「リサーチ・ドリブン・イノベーション」第2回目の記事となる今回は「リサーチ(Research)」という言葉の意味について、掘り下げていきましょう。具体的な方法論に入る前に、組織にとっての“リサーチ”という営みがどのような意味を持つのかを掘り下げることは、組織イノベーションの本質を理解することにつながります。

前回の記事では、既存のイノベーション論における「外から内(アウトサイド・イン)」アプローチと「内から外(インサイド・アウト)」アプローチの二項対立について整理しました。その上で、それらを共存させるアプローチとして「リサーチ・ドリブン・イノベーション」を提案しました。

目次

イノベーションを支える「知の探索」

組織の選択肢を探索する行動のメカニズム

組織における「リサーチ(Research)」の再定義


イノベーションを支える「知の探索」

『CULTIBASE』でも繰り返し解説していますが、連続的にイノベーションを起こし続けるためには、組織が「両利きの経営」を推進し、既存事業を持続的に深めていく「知の深化(Exploitation)」だけでなく、実験と学習を繰り返して新規事業を開拓する「知の探索(Exploration)」の両輪を同時に回していくことが重要です。

・知の深化(Exploitation):既存の事業を深めていくこと。絶え間ない改善を重視。

 

・知の探索(Exploration):新しい事業を開拓すること。実験と行動を通した学習を重視。

これらの概念は、経営学における組織行動論や組織学習の理論群にルーツを持っています。その系譜を遡っていくと、ジェームズ・G・マーチハーバート・A・サイモンが1958年に出版した現代の組織論の金字塔となった名著『オーガニゼーションズ』で提案された組織の意思決定論にたどり着きます。マーチとサイモンは、企業における行動原理について、「探索(Search)」という概念を提唱し、以下のような図を用いて、メカニズムを説明しました。

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