「両利きの経営(ambidexterity)」を推進する3つのアプローチ

安斎 勇樹

2020.09.14/ 8min read

イノベーションのジレンマを乗り越える方法として近年「両利きの経営(ambidexterity)」という組織学習の概念が注目を集めています。”両利き”という名の通り、既存事業を持続的に深めていく「知の深化(Exploitation)」だけでなく、実験と学習を繰り返して新規事業を開拓する「知の探索(Exploration)」の両輪を同時に回していくことで、継続的なイノベーションとサバイバルを実現していく考え方です。

日本でも第一人者であるオライリーとタッシュマンの著書『両利きの経営―「二兎を追う」戦略が未来を切り拓く』が2019年に翻訳出版され、注目を集めています。一見すると大企業向けの理論だと思われがちですが、ベンチャー企業にとっても他人事ではありません。コロナ禍において、あらゆる企業が変化に対応する強い組織を作るために、”両利き”を実践する必要が高まっているように思います。

知の深化(Exploitation)

既存の事業を深めていくこと。絶え間ない改善を重視。

知の探索(Exploration)

新しい事業を開拓すること。実験と行動を通した学習を重視。

経営における「両利き」とは、「知の深化」と「知の探索」という2つの異なるモードを両立させることです。組織が変化し続ける状態を生み出す、イノベーションの処方箋として最注目されている経営理論です。

CULTIBASE編集部では、「両利きの経営」について海外の研究動向についてレビューを続け、自分たちでも研究を進めています。本記事では、これまでの研究のおおまかな変遷と、両利きの経営を実現するための以下の3つのアプローチについて整理したいと思います。

1. 両利きの連続的アプローチ(Sequential Ambidexterity):時間の経過とともに組織構造をシフトさせることで、両利きを達成する

 

2. 両利きの構造的アプローチ(Structural Ambidexterity):組織内にリソースを共有したサブユニットを結成することで、同時に両利きを達成する

 

3. 両利きの文脈的アプローチ(Contextual Ambidexterity):個人が探索と深化の間で時間を分けられるように組織の機能を設計することで、両利きを達成する

目次

・1976年に提唱された「両利きの連続的アプローチ」

・イノベーションのジレンマを乗り越える「両利きの構造的アプローチ」

・全員で深化と探索を推進する「両利きの文脈的アプローチ」

・3つのアプローチは組み合わせが可能

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