ミーティングを活性化する問いかけの基本定石

ミーティングを活性化する問いかけの基本定石

安斎 勇樹

2022.01.04/ 6min read

誰も意見を述べない「お通夜ミーティング」から脱却し、チームメンバーのポテンシャルを最大限に発揮させるためには「問いかけ」に工夫を凝らすことが重要です。

それでは、相手の意見を引き出すために、日々の「問いかけ」にどのような工夫を凝らせばよいのでしょうか。相手を沈黙させる「悪い問いかけ」と、相手の意見を引き出す「良い問いかけ」とは、何が違うのでしょうか。

本記事では、新刊『問いかけの作法』で解説している相手の意見を引き出す「問いかけ」を投げかける基本的な定石として、以下の4つのルールについて解説します。

問いかけの基本定石
(1) 相手の個性を引き出し、こだわりを尊重する
(2) 適度に制約をかけ、考えるきっかけを作る
(3) 遊び心をくすぐり、答えたくなる仕掛けを施す
(4) 凝り固まった発想をほぐし、意外な発見を生み出す

問いかけの基本定石(1)相手の個性を引き出し、こだわりを尊重する

問いかけの第一の基本定石は、「相手の個性を引き出し、こだわりを尊重する」です。

チームのポテンシャルを発揮させることが大事だと頭ではわかっていても、日々の問いかけの場面において、意識的に相手の「こだわり」にきちんと光が当たるように、問いかけのライトの照射角度を調整しなければ、相手のそれを浮かび上がらせることは、容易ではありません。

むしろやっかいなことに、人は無自覚のうちに、この原則に反して「相手の至らなさ」にライトを当ててしまうことが、少なくないのです。言うなれば、「相手の無能さを露呈させる」ために活用される問いかけです。このような問いかけは、相手の「個性」や「こだわり」を引き出すどころか、たいていの場合、相手を「謝罪」に誘導してしまいます。

【Bad】悪い問いかけは、相手の無能さを露呈させ、謝罪を要求する
(例)なんでこんなことしたんですか?前に言いましたよね?

【Good】良い問いかけは、相手の個性を引き出し、こだわりを尊重する。
 (例)この企画で、特に大事にしたかったことはどこですか?

問いかけの基本定石(2)適度に制約をかけ、考えるきっかけを作る

問いかけの第二の基本定石は、「適度に制約をかけ、考えるきっかけを作る」です。

ミーティングでよく投げかける「何か良いアイデアはないでしょうか?」という問いかけは、あまりにも漠然としていて「なんでもよい」「自由に考えて欲しい」と言われても、考える糸口がないため、発想が深まりません。人間の思考には、自由度が高すぎると、かえって自由に発想できなくなるという不思議な特性があります。特に自分の発言の”良し悪し”が少しでも「評価される」場面においては、自由はかえって不安の源泉になるのです。

相手の思考を動かすためには、問いかけに適度な「制約」を設けて、考えるきっかけを作ってあげることが重要です。

【Bad】悪い問いかけは、無闇に自由度が高く、とっかかりがない。
(例)何かアイデアはありますか?なんでもよいので、遠慮なく提案してください。

【Good】良い問いかけは、適度に制約をかけ、考えるきっかけを作る。
(例)どんなユーザーをターゲットにしたいか、思い浮かぶ特徴はありますか?
(例)これまでボツになった企画の中で「もったいない」と感じるものはありましたか?

問いかけの基本定石(3)遊び心をくすぐり、答えたくなる仕掛けを施す

問いかけの第三の基本定石は、「遊び心をくすぐり、答えたくなる仕掛けを施す」です。

チームのポテンシャルを阻害する「悪い問いかけ」は、問いかけられた相手に無闇にプレッシャーを与え、相手の口を閉ざしてしまいます。チームの魅力と才能を引き出すためには、まずは相手に自分らしい考えを巡らせてもらい、浮かんできた意見を積極的に発言してらうことが不可欠です。意見が外に出せない空気のままでは、お互いの個性やこだわりは見つけられません。

相手の思考を刺激し、意見を出しやすくするための有効な仕掛けは、問いかけに「遊び心」を含ませることです。新しい実験をしたり、余白を作ったり、洒落っ気を織り交ぜたり、いたずらをしたりする。これが、「遊び心」と呼ばれる態度です。

【Bad】悪い問いかけは、重いプレッシャーを与え、相手の口を閉ざす。
(例)社長が発表した来期の戦略について、何か質問はありますか?
(例)良いアイデアはないですか?

【Good】良い問いかけは、遊び心をくすぐり、相手の思考を踊らせる。
(例)もし社長にバレないように、好きな戦略に一つだけ追加するとしたら、何を入れちゃいます?
(例)まずは悪いアイデアから考えましょう。良い”ボツネタ”はありませんか?

特にこの基本定石は、上下関係などの権威、社内規定や評価制度など、”オフィシャルなもの”による重圧がかかっている場面において有効に機能します。多くの場合、権威や評価を懸念して「怖いから、何も言わないでおこう」と萎縮しがちです。こうしたときこそ、問いかけに遊び心を加えることで、心理的な警戒を解除し、気軽に意見を言えるように工夫することが重要です。

安斎による連載「遊びのデザイン」では、創造性につながる「遊び心」を発揮するための仕掛けや考え方について論じています。

破壊の衝動をくすぐるプレイフルな仕掛け:連載「遊びのデザイン」第2回

問いかけの基本定石(4)凝り固まった発想をほぐし、意外な発見を生み出す

問いかけの第四の基本定石は、「凝り固まった発想をほぐし、意外な発見を生み出す」です。

メンバーの「こだわり」が引き出されるチームワークの好循環を作るためには、普段は見えないメンバーの「意外な一面」が発露したり、こだわりが結実した「個性的な発想」が飛び交ったりする状態を目指します。

凝り固まった発想をほぐすためには、相手が普段どのような思考パターンや価値観をよりどころにしているか。特に無意識に繰り返している「言葉」に着目して、それに揺さぶりをかけるとよいでしょう。

【Bad】悪い問いかけは、いつも通りの言葉使いで、いつも通りの発想を促す
(例)このプロダクトの利便性をもっと高めるにはどうすればいいでしょうか? 

【Good】良い問いかけは、いつもとは違う言葉使いで、意外な発想を促す
(例)不便だけど、つい使いたくなるプロダクトとはどんなものでしょうか?
(例)今は「不便だ」と感じていないけれど、ユーザーが本当は手間をかけなくてもよい習慣はないでしょうか?

このように、あえていつもとは違う言葉使いに変えてみたり、考え方の切り口そのものをひねったりすることで、「とらわれ」を揺さぶり、意外な発想を促進し、チームにとって新しい可能性を探索するワークショップ型のスタイルを強めることができます。

この他にも「とらわれ」を揺さぶる問いかけのテクニックはまだまだあります。具体的なパターンについては新刊『問いかけの作法』の第4章で体系的に解説していますので、ぜひそちらをご覧ください。


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