学習者としてあり続けるための、「探究」のコツ:連載「ワークショップ・ファシリテーションのヒント」第10回

学習者としてあり続けるための、「探究」のコツ:連載「ワークショップ・ファシリテーションのヒント」第10回

水波洸

2021.05.14/ 10min read

本連載「ワークショップ・ファシリテーションのヒント」では、「明日の実践ですぐ使える」ことをコンセプトに、実践に役立つちょっとしたファシリテーションのヒントを紹介します。第10回となる今回は、ファシリテーターが学習者としてスキルを高め続けるために効果的なヒントをお届けします。 ※この連載はCULTIBASE Lab会員限定です。後半のヒントの部分はLabにご入会いただいている方のみご覧いただけます。

https://cultibase.jp/6834/

これまで本連載では、ファシリテーションの実践的な側面に着目し、参加者の学習や創発を促していく上で役に立つヒントをお届けしてきました。ところで、そもそもファシリテーションとは何なのでしょうか。日本ファシリテーション協会のWEBサイトでは、「ファシリテーション(facilitation)とは、人々の活動が容易にできるよう支援し、うまくことが運ぶよう舵取りすること。集団による問題解決、アイデア創造、教育、学習等、あらゆる知識創造活動を支援し促進していく働き*」と定義しています。しかしながら、現在様々な領域で行われるファシリテーションは、今もその実践の幅を広げており、様々な実践者がこの定義自体を問い直したり、独自の定義を掲げながら活動しています。

「ファシリテーションとは何か?」を捉える上で、既存の職業との違いから考えていくと、その輪郭が浮き彫りになることがあります。例えば、学校の教師や研修講師など、何かを教える職業とファシリテーターとでは何が違うのでしょうか。人の前に立ち、何か活動を促す点で、両者はよく似ています。また、対象が学びを獲得するという目指す目的も共通しています。しかし、ファシリテーターと講師では、学習を促すプロセスと学習者に対する接し方が大きく異なります。

講師は基本的に自身が持っている知識を与えることで参加者に学びを与えます。そのため、数学の公式など、社会的に正しいことが認められている事柄を効率よく学ぶ状況下において重宝される役割だと言えるでしょう。他方でファシリテーターは、場にいる学習者たちが、自身の価値観に基づいた独自のアイデアや気づきを主体的に獲得できるように働きかけることを専門としています。もちろん、この二つの役割は完全に分けられるものではなく、むしろ、特性の違いを理解した上で、場面に応じて部分的に取り入れることで、より大きな効果を生み出せると言われています。

また、個人の学びと創発だけでなく、集団による学びと創発を重視する点も、ファシリテーターの重要な特性のひとつです。一人ひとりの発言を丁寧に扱いながら、新たな思考の材料として編み直して提示する。そしてその集団知に触発された個人からまた新たなアイデアが生み出される。そのように知を生み出し続ける好循環を起こすことができれば、ファシリテーターとして理想的な働きかけができていると言えるでしょう。

既知の知識を教示する講師と違い、ファシリテーターは未知の問いへの探究を通じて学習を促していく存在です。「イノベーションに繋がるような斬新なアイデアを生み出すためにはどうすればいいのか?」や「人間関係上の問題をどうすれば解決できるのか?」といった、容易には解決できない複雑な問題に対して、場における知の循環を発生させることで、社会的には必ずしも正解と断言できるわけではないけれども、あくまでに自分たちにとってはそれが正解だと信じられるような答えを見出す支援を行うこと。それがファシリテーターの本質的な役割だと考えています。

それでは、どうすればそのような働きかけができるのでしょうか。一つには、ファシリテーター自身も一人の学習者として、未知の問いを探究し続ける姿勢を持ち続けることが重要だと考えています。ファシリテーターは、学習者の手を引き道を先導する存在ではありません。あくまで自分自身も学習者のひとりとして、並び立ち、肩を組み、他の学習者を支える存在です。学習者が伸び伸びと未知の問いと向き合うためには、そのような意識で場に臨むことが大切です。

しかしながら、学習者の一人で居続けることは、言葉ほど簡単ではありません。探究の姿勢を忘れ、同じ領域で似たような実践を続けていれば、参加者のアイデアもそれほど斬新なものには滅多に出会えなくなっていきます。また、知識も増えていくので、つい必要以上に教えたがってしまうケースもよくあります。そのような振る舞いが身についてしまうと、いつしかワークショップを機械的に”こなす”ようなファシリテーターになってしまうかもしれません。

そこで、今回は、学習者としての姿勢を忘れず、ファシリテーターとしてのスキルと精神を高め続けるためのヒントを5つ紹介します。ぜひご覧ください。

*特定非営利活動法人日本ファシリテーション協会公式WEBサイト: https://www.faj.or.jp/facilitation/

■今回紹介する5つのヒント
「“第三の道“を信じる」
「ファシリテーター自身が究極の初心者として振る舞う」
「ファシリテーターは誰よりも学習者であるべき」
「ファシリテーターも学習者の一人として、時に個性を出す」
「自分のファシリテーションを撮影し、振り返る」

続きをお読みいただくには、
CULTIBASE Lab会員登録が必要です。

Lab会員登録初月無料トライアルに申し込む ログイン
CULTIBASELabの紹介

Most Popularランキング トップ5

Tag人気のタグ

タグ一覧へ
CULTIBASE編集部がテーマごとに
動画・記事・音声コンテンツを
厳選してまとめました。

コンテンツパッケージ

CULTIBASE編集部がテーマごとに動画・記事・音声コンテンツを厳選してまとめました。

もっと見る