レジリエントな職場をつくるための3つの視点:連載「レジリエンス入門」第3回

レジリエントな職場をつくるための3つの視点:連載「レジリエンス入門」第3回

池田めぐみ

2021.04.28/ 5min read

前回の記事では、自身のレジリエンスを高めるために大切な視点についてご紹介しました。本記事では、レジリエントな職場をどのように作っていくのか、3つの視点から紹介します。

目次
個人がレジリエントでいられる職場とは?
部下と接する上で気を付けたい3つの視点

個人がレジリエントでいられる職場とは?

本連載の第1回目で述べたように、VUCA時代においては、個々が高いレジリエンスを持っていることが、高いパフォーマンスを発揮する上で重要であり、部下のレジリエンスは、マネージャーの振る舞いによっても左右されます。

近年の研究では、部下のレジリエンスが、マネージャーのリーダーシップスタイルから影響を受けることが確認されています。例えば、Cooke et al.(2019)は、友好的で支援的な職場環境を提供するような上司のリーダーシップ行動が、部下のレジリエンスにポジティブな影響を与えることを確認しています。

また、コロナなどの危機的な状況下においては、リーダーが危機への対処法についてメンバーにアイデアを求め、彼らが経験するストレスや緊張に共感し、必要な時には助けを求めるように促すことが、部下がレジリエントでいるために重要であることが示されています(Sommer et al. 2015)。

部下と接する上で気を付けたい3つの視点

では、日頃部下がレジリエントでいられるためにマネージャーは何をしたら良いのでしょうか?

①自分が与える威圧感に自覚的になる

まず、マネージャーは、自分が与えている威圧感に自覚的になる必要があります。「自分は、最近マネージャーになったばかりだから」「まだ若いから」「明るくて陽気なキャラだから」などという理由で「部下は自分に話しかけやすいだろう」「部下に友好的に接することができているだろう」と思っている人も多いかもしれません。

たしかに、そういう方はレジリエントな職場をつくっているリーダーである可能性もあります。しかし、部下はマネージャーが想像している以上に、評価を下す上司の存在を恐れている場合もあります。まず、自分がポジション的に“威圧的な存在”と認識されうると自覚することが、部下がレジリエントでいられることを促すファーストステップです。

②チームで働いていることと、自分が味方であることを強調する

次に、マネージャーは部下に対して、自分が味方であるというメッセージを伝えることが重要です。先ほど、友好的で支援的なリーダーシップスタイルや、危機に遭遇した際の対処法についてメンバーにアイデアを求める行動が、部下のレジリエンスに寄与することを紹介しましたが、そうした実践をする上では、まず自分があなたの味方であるということを認識してもらう必要があります。

競争的に仕事をするのではなくチーム全体で成果を出すことが重要であることを伝えたり、自分が部下の味方であることを示して「いつでも相談に乗るよ」と声をかけたりしながら、部下と友好的な関係を作る上での土台を構築してみると良いかもしれません。

③ちょっとした相談をしやすい工夫をする

②までできていたら、レジリエントな環境がかなり整っていると言えます。さらにレジリエントな職場作りを目指すのであれば、部下が上司からサポートを受けやすい環境を作ることが大切です。そのため、部下が困ったときに、ちょっとした相談をしやすいような工夫を作っておきましょう。例えば、平日の特定の時間に、オフィスアワーを設け、その時間はアポなしの相談をうけるといったことはすぐに実践できるでしょう。

以上3つの視点により、部下がレジリエントでいられる支援的で友好的な職場を構築することが可能です。


さて、ここまで3回にわたり、今マネージャーにレジリエンスが求められている理由、マネージャー個人のレジリエンスの高め方、レジリエントな職場を作る方法についてをご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか?

まだまだコロナの影響や、それに関連した不況で不安な日々も続いています。このような状況下に置いても、自身の強みを振り返ったり、部下との友好的な関係を構築し、レジリエントな職場をつくっていきましょう!

参考文献
Cooke, F.L., Wang, J. and Bartram, T. (2019), Can a Supportive Workplace Impact Employee Resilience in a High Pressure Performance Environment? An Investigation of the Chinese Banking Industry. Applied Psychology, 68: 695-718.

Sommer SA, Howell JM, Hadley CN. (2016), Keeping Positive and Building Strength: The Role of Affect and Team Leadership in Developing Resilience During an Organizational Crisis. Group & Organization Management. 41(2):172-202. 

ライター:池田めぐみ
東京大学 社会科学研究所附属社会調査・データアーカイブ研究センター 助教。2020年 東京大学大学院学際情報学府博士課程修了。博士(学際情報学)。主な論文に『大学生の準正課活動への取り組みがキャリアレジリエンスに与える影響:他者からの支援や学生の関与を手掛かりに』(日本教育工学会論文誌)など。

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